菅義偉首相が21日で解除を表明した首都圏4都県を対象とする緊急事態宣言。1月に2度目の宣言の発出に向け、連携して政府に働きかけた4都県の知事たちは、宣言の解除に際し、共同で動くことはなかった。なぜか。

「東京は今日400人を超える感染者が出ている。これからのポイントはリバウンドをどう防ぐか」

 小池百合子・東京都知事は17日夜、神奈川、千葉、埼玉3県知事と開いた非公式の会議後、記者団にそう述べた。約1時間前に菅首相が解除を記者団に表明していたが、政府の解除の判断に先んじて、4人の知事たちが共同で政府に要望する動きは起きなかった。

 2度の延長を経て、2カ月半で解除されることになった緊急事態宣言。1月8日に始まった宣言は、4都県の知事が1月2日に西村康稔経済再生相に宣言を要請したことが起点となった。知事らは当時、コロナ対策で足並みをそろえる「ワンボイス」を強調した。だが、ある自治体関係者はこう語る。

 「4都県が政府を動かした成功体験は過去の話。ワンボイスは完全に崩れ去った」

 そのきっかけとなったのが、3月3日にあった4都県知事の非公開会議だ。
首相が宣言再延長を表明する直前に開かれ、宣言の再延長をめぐって激しいやりとりがあった。

 複数の出席者によると、宣言延長を政府に要請しようとする小池氏の案に、首相に近い黒岩祐治・神奈川県知事は「総理の判断を仰ぐことが筋。ここに至っては、ワンボイスでなくても良いと思っている」と異議を唱えた。

千葉県の森田健作知事も「菅総理が最終的に判断すると述べている。その言葉に委ねてもいいのではないか」とした上で、
「必ずしも4都県が一緒くたになる必要もない」と黒岩氏に同調した。
小池氏が提案した共同での政府への要請は見送られた。

3/17(水) 21:19
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