「東京五輪は世界200カ国から1万5000人の選手が集う。これに審判、スポンサー、ジャーナリストが加わる。さらに8万人のボラインティア。
1100万枚のチケットをもった観衆がいる。これはもう中止しかない」というのがパリー氏の主張だ。

 この記事は日本語に翻訳され、世論調査では約70%の日本人が賛同。外国人の多い企業の56%も同じ反応だった。

 それでも東京五輪が中止になる可能性は低い。すでに莫大な金が東京五輪に投入されており、それが中止を阻んでいる。

英オックスフォード大学の試算では、東京五輪はすでに史上最も金のかかる大会になっている。

 いったい、本当の意味でいくら金がつぎ込まれたのか、誰にも分らない。あるいは口にできないことかもしれないが、ここで中止すればコカ・コーラ、VISA、
ゼネラル・エレクトリックなど、世界の大企業が打撃をこうむる。NBCテレビも五輪放映権に莫大な金をつぎこんでいる。
保険でどの程度損失がカバーされるかは不明だが、誰が誰にどんな責任を負わせるか、法的な争いが数年間続くことになるだろう。

 大会を開催して得られる収入は7000億ドル(75兆円)が見込まれる。うち、広告収入やスポンサーからは3500億ドル(38兆円)。
これらはすでに銀行に振り込まれている。五輪中止でこうむる損害は6400億ドル(69兆円)と見込まれ、経済的な大打撃となる。

 パリー記者は現状をこう分析した。

 「日本政府にとって、中止はこれ以上ない屈辱であり、世界で最も権威のある大会のために数年間、トレーニングを積んできた若者たちを絶望させる。
金、権力、五輪の魅力から何が何でもオリンピックは開催されるべきだ、という流れができており、すでに誰にも止められない暴走列車になっている。
ここでは国民の健康は考慮に入れられなかった。森喜朗・前組織委員会会長は『何が何でも五輪は開催する』と言った」
https://www.zakzak.co.jp/spo/news/210317/spn2103170003-n1.html