【ワシントン時事】米南部ジョージア州でアジア系女性ら8人が犠牲となったマッサージ店銃撃事件で、米各地のアジア系団体は17日、一斉に怒りの声を上げた。

 容疑者の白人の男は人種的な動機を否定したが、アジア系を狙ったヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増する中での惨事に、住民には恐怖が広がっている。

 犯行は16日夕、同州アトランタと近郊のマッサージ店3店で発生。犠牲者は韓国系女性6人と白人の男女だった。米メディアによると、拘束されたロバート・ロング容疑者(21)は警察に銃撃を認め、自身の「性依存症」を断ち切るためだったと供述。捜査当局は、まだ憎悪犯罪かどうかは判断できないと説明している。

 日系人団体「日系米国人市民連盟」は声明で、同じアジア系が狙われたことを重視。「(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)でもたらされた露骨な人種差別で、われわれはすり減っている。一体いつになったら終わるのか」と怒りをぶちまけた。

 中国系のジュディ・チュー下院議員はツイッターで「恐怖の中を生きるアジア系米国人たちへ、あなたは一人ではない」と連帯を呼び掛けた。米西海岸の中国系商工会で会頭を務めるカール・チャン氏はニューヨーク・タイムズ紙に「アジア系の高齢者は怖くて街を歩けなくなっている」と訴えた。

 アジア系に対する差別を調査する人権団体「ストップAAPIヘイト」によると、昨年3月のパンデミック以降、憎悪や嫌がらせは約3800件に上り、唾やせきを吐きかけられる被害もあったという。1月には84歳のタイ系の男性が背後から突き飛ばされて死亡する事件が起きた。

 中国で最初に感染者が確認された新型コロナをめぐっては、トランプ前大統領が「中国ウイルス」などと呼び、差別を助長したという批判がある。 

3/18(木) 20:35
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