2021/03/25 18:00

著者:波留久泉

https://news.mynavi.jp/article/20210325-1839034/title_images/title.jpg

東北大学、東京工業大学(東工大)、科学技術振興機構(JST)の3者は3月24日、「二次元有機・無機ハイブリッドペロブスカイト」において、キラリティの制御が可能な重元素で構成される新しい半導体の材料設計に成功し、結晶構造のキラリティを反映した「光電流」が発生することを発見したと共同で発表した。
同成果は、東北大 金属材料研究所の谷口耕治准教授、同・宮坂等教授、東工大 フロンティア材料研究所の笹川崇男准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、材料科学誌「Advanced Materials」に掲載された。


近年、スピントロニクス分野で関心を集めているのが、非磁性物質において、固体内の電子スピン特性に由来した磁気的性質を発現させることだ。こうしたスピン特性を発現させるには、強いスピン・軌道相互作用を持つ系を、「空間反転対称性」の破れた状況下に置けばよいことが知られている。
特に、キラルな結晶構造を持つ重元素で構成される物質は、この条件を満たす系として、以前より注目されてきた。しかし、重元素を用いた物質設計が可能な無機物では、自由にキラリティを選択して物質を合成することが困難であるという課題があった。
一方、キラリティを制御した物質設計が容易な有機物では、軽元素で構成されるため、肝心のスピン・軌道相互作用が弱くなってしまうという課題があり、それぞれ得手不得手のある状況となっていた。こうした背景を受けて共同研究チームは、新しいコンセプトに基づき、上記の条件を同時に満たせるような新規物質の開発に挑むことにしたという。
共同研究チームは今回、有機・無機ハイブリッドペロブスカイト系の化合物が、単一の物質内で有機物と無機物の性質を併せ持つという特徴に着目。重元素で構成される無機骨格に、キラルな有機分子カチオン(陽イオン)を挿入するという独自の方法により、従来の無機物単体や有機物単体では実現が難しい、「強いスピン・軌道相互作用」と「キラリティの制御性」を併せ持つ系の設計が行われた。
具体的には、層状構造を持ち比較的大きな分子でも組み込むことが可能な、二次元有機・無機ハイブリッドペロブスカイト型の「鉛ヨウ化物」(2D-OIHP)を選択。これにより、キラリティを自由に制御できる、新しい半導体を作り出すことに成功した。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://news.mynavi.jp/article/20210325-1839034/