光ビームは、それが螺旋状の波面になるとき、左回りまたは右回りの極性が生じ、キラルとなる。
「光渦を用いることで、金属や半導体、有機物の物理的特性をナノスケールでねじり、ユニークな
特徴を備えたキラルなナノ構造を創ることができます。

光渦の電磁場は、光が空間を進むにつれて回転する。この電磁場を金属など の導電性物質に作用
させると、ナノスケールのコルク栓抜きのように、物理的特性の変化を物質の表面に刻むことが
できる。こうして構造が変化した表面は、左手系および右手系のキラル分子や光渦に対して異なる
反応を示すため、化学センシング・合成・イメージングの分野でこれまでにない可能性が拓ける。

「光渦を使用すると、螺旋状のニードルや螺旋状のレリーフ、螺旋状のファイバーといったナノ構造を
創り出すことができます。また、同じプロセスを用いることにより、フラーレンを重合させることが
できることも分かりました。フラーレンは、よく知られた機能性有機分子で、通常は、導電性は
ありません。しかし光渦を用いると、フラーレンは導電性の金属相を形成します。これは、
金属や半導体を用いることなく、電子デバイスを作製するための基盤として用いることができる
可能性があります」。