浜松市天竜区の山中のテントで3月、中学3年の匂坂(さぎさか)絢乃(あやの)さん(15)が遺体で見つかり、「心中を図ろうとした」と供述した男性が未成年者誘拐容疑で逮捕された事件で、両親の代理人弁護士が2日、記者会見し、匂坂さんが「学校でいじめに苦しんでいた」と明らかにした。

 弁護士によると、2018年に中学に入学した匂坂さんは同級生らにいじめを受け、数カ月後から不登校になった。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、中学側が設置した第三者委員会は19年11月にいじめの存在を認めていたという。両親は名前を公表し、弁護士を通じて「いじめの対応について真摯(しんし)に考える機会になってほしい」とコメントした。

 事件を巡っては、匂坂さんを車で連れ回したとして、静岡県警が3月17日、福岡市東区の無職、入江大(だい)容疑者(33)を未成年者誘拐容疑で逮捕した。捜査関係者によると、2人がSNS(ネット交流サービス)でやり取りしていた形跡や、遺体が見つかったテントの中で練炭を使った跡が見つかっていた。【深野麟之介】

遺族のコメント全文

 2021年3月15日に発生した事件により、私たちの大事な絢乃が還らぬ人となってしまいました。あまりの衝撃に何も考えられない状況に陥りましたが、私たちに与えられた日常の使命を務めつつ、とにかく混乱を避け絢乃を最後までしっかりと見送ろうという思いを家族で共有し、報道機関各位には強く匿名での報道を希望した次第でございます。

残念ながら一部で実名報道がなされ、意図せず周囲の方々にもご迷惑をおかけしてしまうこととなりましたが、大多数の報道機関ではプライバシーに配慮した報道を心がけていただけました。ご配慮に感謝いたします。

 2021年3月21日、家族だけで絢乃の葬儀を静かに、恙なく行うことができました。

 葬儀を迎えるまで、私たちの静かに絢乃を見送りたい、第三者からの心無い言葉・行動による二次被害から家族や周囲の方々を守りたいという思いに対し多大なる支援を頂いた警察犯罪被害者支援チーム、友人、親族、弁護士の先生、葬儀社の皆様方には感謝の念にたえません。

 絢乃が生きた証として、少しでもこの世に何かを残すことができればと考えておりますが、そのために絢乃が何故このような悲しい結末を迎えるに至ったのか、改めて皆様にお伝えしたいことがございます。

 絢乃は繊細でとても優しい子でした。

 人が大好きで、自然が大好きで、読書が大好きで、何よりも決して人を傷つけることをしない子でした。受験勉強を頑張り、無事中学校に入学することができ、希望を持って中学生としての生活を始めたものの、わずか数か月で登校できない状態となってしまいました。原因はいじめです。

 その後、いじめによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断、以後定期的な通院を開始し、本人・家族・主治医一体となり病からの回復を目指していました。様々な症状に苦しみながらも、浜松トップガンプロジェクト、修学旅行など最小限の課外活動には参加することができ、ここ半年程度は高校生活に向けて少しずつ絢乃の状態が回復していた状況でした。2月中旬には無事進学先も決まり、絢乃自らも更に前向きに頑張ろうとしていたように見えていた矢先の今回の出来事でした。

 いじめについては、未だ加害者側から一切の謝罪をうけていない状況であり、また学校側の対応としても(学校側が準備した)第三者委員会を通じた結論として、学校側の責任は認めたものの、調査結果内には絢乃の心の弱さが原因とも捉えられる文面まで記載されており、家族としては到底納得いかない結論付けがされておりました。

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https://news.livedoor.com/lite/article_detail/19960995/