首都圏の主要通勤路線である西武池袋線と中央・総武線各駅停車で、2021年4月5日朝に人身事故が発生した。一時運転見合わせや列車に遅れが出る事態になった。

 多くの人が通勤・通学する時間帯だ。目的地へ急ぐ人々にとっては困るが、ツイッターでは西武線の遅延は「珍しい」との書き込みがちらほら。一方で中央・総武線には「またか」の声が。首都圏でよく遅延が起きている路線を調べてみると...。

ほぼ毎日「遅延証明書」発行

遅延の扱いについて、主な鉄道会社では5分が基準となるようだ。JR東日本では「概ね5分以上」、西武鉄道、東京メトロなどでは「5分以上」の遅れで「遅延証明書」が発行される。

国土交通省は、「東京圏の鉄道路線の遅延見える化」に取り組んでいる。2020年2月に発表した東京圏の45路線の遅延証明書の発行状況の数値から、頻繁に遅れが発生している「ワースト路線」が見えてきた。

1か月当たりの遅延証明書発行日数状況(平日20日間)を見てみよう。第1位は東京メトロ千代田線で、19.2日だった。次いで19.0日のJR中央快速線・中央本線線(東京〜甲府)と、中央・総武線各駅停車(三鷹〜千葉)。平日はほぼ毎日遅れが出ていることになる。

一方で、運転見合わせ、遅延が「珍しい」との呟きもあった西武池袋線は、遅延証明書発行日数状況が11.5日となっている。平日は約2日1回遅れている計算だ。


西武池袋線は10分以下の短い遅れ多い

ただし、西武池袋線は11.5日のうち9日は10分以下の短い遅れにとどまっており、10分以上30分以下の遅延は2.3日だった。

これに対して東京メトロ千代田線では、10分以上30分以下の遅延が6.9日、JR中央快速線・中央本線線(東京〜甲府)は9.2日、中央・総武線各駅停車(三鷹〜千葉)では9.1日と西武線の3〜4倍多い。

遅延には10分未満の「小規模な遅延」と30分以上の「大規模な遅延」がある。国交省の発表資料によると、とくに混雑する駅では、「乗降時間超過」によって数分程度の小規模な遅れが生じることが多い。千代田線や中央線では、大規模とまでいかないが、数分ではおさまらない遅延がしばしば起きているのだ。

逆に、計算上ほとんど遅れない路線も存在する。東武野田線では、20日間で平均1.1日しか遅延していない。ほかにも、東急多摩川線は1.7日、京王井の頭線、東急大井町線は2日だ。東武野田線と千代田線とは約18日も違っていた。

1か月(平日20日間)当たりの遅延証明書発行日数状況(10分超)
ワースト
埼京線・川越線(大崎〜新宿〜武蔵高萩) 11.7日
東海道線(東京〜湯河原) 11.6日
横須賀線・総武快速線(大船〜東京〜稲毛) 10.5日
中央快速線・中央本線(東京〜甲府) 10.1日
中央・総武線各駅停車(三鷹〜千葉) 10.1日

ベスト
東急大井町線 0,4日
京王井の頭線 0.5日
東急池上線 0.6日
東急多摩川線 0.6日
東武野田線 0.6日
都営大江戸線 1.0日
東武東上線 1.1日
南武線(川崎〜立川) 1.6日
京王線 2.4日
東武伊勢崎線 2.4日
西武池袋線 2.5日
京急(品川〜横浜) 2.5日

https://www.j-cast.com/trend/2021/04/05408832.html