【マンション業界の秘密】東西の2大ニュータウンが利便性で明暗 千里は再生と拡大、多摩は老朽化へとまっしぐら 2018.4.30
東京のニュータウンと言えば多摩。その昔、多摩ニュータウンの分譲住宅は数百倍の当選確率も珍しいことではなかった。それこそ、よほど幸運に恵まれないと住めないのがここで、首都圏の勤労者にとって憧れの地だった。
 大阪のニュータウンと言えば、千里。ここは全国のニュータウンの先駆けとも言える街。1960年代から入居が始まった。こちらも大人気で、当選確率は多摩と同様、数百倍が当たり前だった。
 今、この2つの巨大な街はどうなっているのか。
 まず、千里ニュータウンは再生と拡大が行われている。古いマンションを徐々に建て替え中。当然、再生されたマンションの方が戸数は多くなる。また、最寄りの千里中央駅がある北大阪急行線は延伸する予定。
つまり、千里ニュータウンは新しい成長の段階を迎えている。
 一方、多摩ニュータウンは確実な衰退の途上にある。ニュータウン内の古いマンションは一部再生されたが、大部分は老朽化の度を深めている。新しいマンション開発は以前と比べてかなり減り、若年層の流入も少ないので、街も人も老朽化が進んでいる。
 千里と多摩。片や再生と拡大、もう1つは老朽化への一本道。この明暗を分けた原因は何なのだろう。
 それは何よりも立地条件の違いだ。千里は大阪の中心部に近いのに対し、多摩はかなり遠い。大阪の中心である梅田まで、千里中央駅からは20分弱でアクセスできる。東京なら大手町から約20分の千葉県浦安市あたりのポジションに千里ニュータウンはある。
 対して多摩センターから新宿までは30分強。大阪なら、なんばから30分強離れると、大和西大寺あたりだ。奈良の手前。いかにも「遠い」という感覚になる。
 多摩ニュータウンの全盛期は70年代から80年代。この時代にあの街で育った世代は今、30代から40代。彼らは自分の生まれた街に戻らないで、湾岸あたりのタワーマンションを購入して住んでいる。
 千里ニュータウンには継続的に新しいマンションが誕生しているので、老朽化の印象もあるが、一部ではリニューアルが進む。この流れは今後も継続するとみられるため、千里ニュータウンは、今も昔も変わらず便利で住みやすいと分析できる。
 千里や多摩以降に開発された新興系のニュータウンは、多摩以上に遠隔地になるケースがほとんど。
首都圏なら千葉や港北ニュータウン。近畿圏なら西神ニュータウンなどだ。これらの遠隔ニュータウンは多摩同様、老朽化が待っている。たった一世代で街としての役割を終える運命になる恐れがある。
 マンション購入という視点で考えるなら、千里ニュータウンは買ってもいいが、多摩や千葉、港北、西神などは手を出しづらい。
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