新型コロナウイルスの感染拡大で観光やレジャーが打撃を受ける中、中国地方のゴルフ場来場者が堅調に伸びている。中国5県109カ所の合計は、今年2月に過去10年で最多の28万8896人を記録。3月も37万1632人と、126カ所あった2013年以来に37万人を超えた。背景には、屋外で「3密」を避けて楽しめるという認知の広まりと、ゴルフをたしなむ若者の増加がある。

 団塊の世代が高齢になり、来場者減が課題だったゴルフ場。その光景が様変わりし始めた。廿日市市の広島佐伯CCは、2月来場者が例年の2倍近い約4千人。3月も前年比4%増の約5200人と好調だった。呉市の呉CCも2月来場者が約3千人と「最近ではあり得ない数字」(水田一生支配人)になるなど、にぎわった。

 中国ゴルフ連盟によると、全国に緊急事態宣言が出た影響で、昨年4〜6月の5県来場者は前年比2、3割減と大きく落ち込んだ。しかし、昨年8月に前年比26%増の38万3215人と持ち直すと、その後も感染拡大前と同水準か上回るペースで推移。今年1〜3月の合計は90万3288人と、14年ぶりに90万人を突破した。

 各ゴルフ場は感染拡大以降、来場客の検温やカートの消毒、食堂の机へのパーテーションの設置、風呂の使用禁止など予防策を徹底してきた。同連盟は「感染対策の成果もあり、旅行などの代わりにゴルフを選ぶ傾向が強まった」とみる。

 若いゴルファーの増加も要因の一つだ。「昨年から20〜30歳代の客が目に見えて増えた」と広島佐伯CCの角市誠支配人は言う。同連盟が企画する初心者向けレッスンには、昨年過去最多の1765人が受講。20〜40歳代が8割近くを占め、半数は女性だった。

 広島市佐伯区の会社員竹本和矢さん(23)は「飲み会がなくなり、みんなで遊ぶ機会もなくなったから。濃厚接触がないゴルフは気軽に誘いやすい」と説明する。「ユーチューブを見て始めた」「かわいいウエアを着たかった」などの声もあった。

 各ゴルフ場はこれまでも初心者向けプランを設けるなど、来場者減に歯止めをかけようとしてきたが、目立った成果はなかった。思わぬ形で吹いた追い風に、中国地区ゴルフ倶楽部(くらぶ)支配人会の長島博之書記長(庄原CC支配人)は「若い世代が定着するよう、取り組みを拡充したい」としている。
中国新聞社

https://news.yahoo.co.jp/articles/0f93b014f02eeeed56f327f7a6f013dbaa214440