世界最北の茶畑、日本企業の協力で名産地に インスタ映えで人気観光地:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/97518

ロシア・クラスノダール地方のソチに、世界最北を名乗る茶畑がある。ソ連の最高指導者スターリンの意向で誕生し、静岡県の企業の支えもあって、ソ連崩壊後の混乱を乗り越えた。全体主義の影を引きずった茶畑は今、緑茶の名産地として光を浴びている。(ソチで、小柳悠志)

「茶は手で摘むのが一番。機械摘みと比べて値段は高くなりますが、風味は格段に上です」

ガイドの声が緑の中にこだまする。ソチの「マツェスタ茶園」のたたずまいは静岡県の牧之原台地のよう。ロシアでは「インスタ映えする」と評判で、昨年は新型コロナウイルス流行にもかかわらず、6000人以上の観光客が訪れた。

現在のロシアで茶葉の生産が始まったのは1930年代。既に茶の木があったジョージア(グルジア)やアゼルバイジャンにならい、ソチでも茶畑がつくられた。第二次大戦で作業は中断したが、47年に「レーニン記念マツェスタ茶園」が開業した。

機械もなく、開墾はほとんど手作業。緯度は北海道北見市とほぼ同じで、寒さのために茶の木は何度も枯れた。それでもスターリンは茶の大増産をあきらめなかった。

ジョージア・オーガニックティー協会のショタ・ビタゼ会長(60)によると目的は栄養補給。茶にはビタミンなどが含まれ、戦場で兵士の病を防ぐ。ロシアは冬が長く、野菜の収穫量も限られていた。広大な領土を抱える赤軍の国、ソ連にとって茶葉は軍事戦略上、欠かせない。
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