伊賀市は高齢者より医療従事者を優先して接種

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http://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20210413/3070005332.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

全国で高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種の開始に向けた準備が進む中、
「高齢者の優先度を下げる」という苦渋の決断をした自治体が三重県内にあります。
およそ3万人の高齢者がいる伊賀市では、今週中に高齢者の接種用に
およそ1000回分のワクチンが届けられる予定です。
ただ伊賀市は、このワクチンを医療従事者への接種に転用するため、
市内の高齢者向けの接種は5月下旬以降にずれ込む見通しです。

「高齢者の優先度を下げる」という決断の背景には、コロナ禍の地域医療の厳しい現状があります。
伊賀市では、市内の高齢者が安心してワクチン接種を受けることができるよう、
身近なかかりつけ医が接種を担当する「個別接種」を採用しました。
ただ地域の診療所に勤務する医療従事者向けのワクチンの優先接種は、まだ完了していない上、
市内の医療機関ではもともと潤沢ではない人員で感染者の対応と地域医療の維持の両立に追われているということです。

このため「個別接種」を担う医療従事者を感染から守るとともに、接種の場での
高齢者への感染を防ぐために、伊賀市は医療従事者への接種を優先する方針を決めました。
伊賀市健康福祉部の田中満部長は「伊賀市でもたくさんの陽性患者が確認され、
日々、医療機関では入院対応や診療・検査に携わってもらっている。
医療従事者の安全を確保する観点から医療従事者を優先させていただきたい」と話しています。

一方、「個別接種」を中心とすることで懸念されているのが、接種予約の
急なキャンセルなどによって生じる「余ったワクチン」の廃棄です。
伊賀市では、40余りの医療機関の協力を得て、高齢者への接種を実施する計画ですが、
ワクチンを医療機関に小分けに配送することで廃棄するリスクも高まるとして、
できるだけキャンセルはしないよう呼びかけています。

田中部長は「予約した日に接種を受けてもらいたい。ただ体調不良などの場合は無理をせず、
後日にワクチン接種してもらえることも伝えていきたい」と話しています。

感染症に詳しい三重病院の谷口清州院長は、新型コロナウイルスのワクチンについて、
「感染しても発症しない、発症しても重症化しない、重症化しても死亡しない、という効果がわかってきている。
変異ウイルスでも多少効果は落ちるが重症化は抑えられる」と話しています。
その上で、副反応については「自分がワクチンに反応して免疫をつける過程の反応なのであってしかるべきもの。
アナフィラキシーは極めてまれで、即座に対応すれば問題ない。
新型コロナウイルスにかかったときと、ワクチンの効果を合わせて考えて、
自分で納得して接種してもらいたい」と話していました。

高齢者への接種を優先することについては「入院者や重症者が増えると医療体制が圧迫されてしまう。
リスクの高い高齢者から先にワクチンで予防すれば、医療機関の入院患者を減らすことができる」
とその効果について述べました。
さらに津市と四日市市が、高齢者施設の入所者から接種を始めていることについて
「高齢者施設は感染者の集団、クラスターの発生確率が極めて高く、重症例も多い。
リスクの高いところから予防するのは合理的だ」と話しました。
また、医療従事者向けの優先接種と高齢者向けの接種が並行して進むことについて
「接種する人が感染しているかもしれないし、予防接種は極めて近づいて行うので、
院内感染の予防という面でも本来は先に医療従事者が接種してもらうのが望ましい。
ワクチンが潤沢にあれば、確実に接種していけるので、まずは供給計画をしっかりと示していくべきだ」と話していました。

04/13 19:00