光の青色成分「ブルーライト」をカットする眼鏡は、子どもに推奨する根拠がないとする見解を、日本眼科学会や日本眼科医会などの眼科6団体が14日、共同で公表した。

 ヒトの目に見える光(可視光)は赤や緑、青などの波長の異なる光からなる。

 青い光は波長が短く、エネルギー量も多い。このため、パソコンやスマートフォンの液晶画面から出る青い光を遮り、目の疲れや眼球の障害を防ぐとして、「ブルーライトカット眼鏡」が一般に売られている。

 日本眼科学会などの見解によると、青い光と体内時計の関係を示す論文はいくつかあり、夜遅くまでスマホなどの強い光を浴びると、睡眠障害をきたす恐れが指摘されているという。

 だが、曇り空や窓越しの自然光に含まれる青い光の方が液晶画面の青い光よりも多く、「網膜に障害を生じることはないレベル」という。

 また海外の研究では、ブルーライトカット眼鏡に、目の疲れを軽減する効果はなかったとするものがある。

 さらに、子どもは太陽光を十分に浴びないと、近視が進むリスクが高まる。

 このため、子どもにブルーライトカット眼鏡をつけると「発育に悪影響を与えかねない」と結論づけた。

 日本眼科医会の加藤圭一常任理事は、「ブルーライトという言葉はよく知られるようになったが、科学的な根拠は一般の人には十分に知られていない。学校現場でデジタル教科書を導入する動きがある中で、今回の見解を冷静な判断に役立ててほしい」と話している。

 今回の見解に先駆け、米国眼科アカデミーは3月、目の疲れの予防のためにブルーライトカット眼鏡の使用は推奨しないという一般向けの文書を公表している。

 デジタル機器を一日中使う子どもにも同様に勧めず、目が疲れたら休憩することを推奨している。(阿部彰芳)

朝日新聞 2021年4月16日 8時47分
https://www.asahi.com/articles/ASP4J2S26P4HULBJ00Q.html?iref=comtop_7_06