キャリア官僚と呼ばれる国家公務員総合職の志望者数が大幅に減少し、不人気ぶりに歯止めがかからない。
「国を動かす政策の企画立案」というイメージとは裏腹に、過酷な長時間労働や、政治に人事権を握られ過剰な「忖度」を強いられる実態が敬遠されたとみられ、
優秀な人材の確保に支障を来しかねない状況だ。

 総合職試験は2012年度にスタートした。申込者は初年度の2万3881人をピークに減少傾向が続き、
21年度は初年度の60%にまで落ち込んだ。キャリア官僚の中核を担う東大出身者も減り続け、20年度合格者数は249人と、記録が残る1998年度以降で最少だった。

 要因に挙げられるのが長時間労働の常態化だ。

 昨年10、11月に全省庁を対象に実施した調査では、20代の総合職の約30%が過労死ラインの目安とされる月80時間を超えて正規勤務時間外に在庁。
また新型コロナウイルス対策に当たる内閣官房の担当部署では、今年1月の時間外在庁が平均124時間、最長の職員で391時間に達した。

 さらに各省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局が14年に設置され、人事権を背景とした政治主導が徹底されると、
首相ら官邸幹部の意向を先回りする忖度が霞が関で蔓延(まんえん)。安倍政権下での森友、加計学園問題をはじめ、政策決定のゆがみが強く疑われる事例が相次いだ。

 志望者の多くは民間に流れているとみられ、総務省幹部は「官僚が憧れられる存在でなければ優秀な志望者は増えない」と危機感をにじませた。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210419/mca2104190613008-n1.htm