日本温泉協会が地熱開発で要望書(全文)

2021年4月14日


 日本温泉協会(笹本森雄会長)は3月26日、要望書「自然公園法・温泉法の規制緩和は慎重に秩序ある地熱開発を要望します」を環境相、経済産業相、行政改革担当相に提出した。

 要望書の全文は次の通り。

   ◇   ◇

 日本温泉協会は昭和4年設立以来、温泉研究者、温泉事業者、温泉に関わる自治体や企業、団体、一般の温泉愛好家の方々が、旧内務省(現在は環境省)、旧鉄道省(現在は国土交通省観光庁)の指導の下、温泉の調査、研究、広報を事業として活動してまいりました。中でも地熱開発に伴う源泉枯渇、泉質の変化、湯温の低下問題は全国各地の温泉地から事例が報告され、当協会内に設置された地熱対策特別委員会で長年にわたり対策を協議してきたところであります。

 当協会は「無秩序な地熱開発に反対」しております。2012年9月6日、2015年5月20日と2回にわたり、地熱開発反対の要望書を提出しました。当協会の基本的な考えは変わっておりません。大規模かつ大深度掘削による地熱開発が温泉源に影響を与えることは間違いないと考えます。

 しかし、当協会は地熱開発の全てに反対のための反対をしているわけではありません。地域活性化のための小規模発電には大いに期待するところでありますが、バイナリー発電については、大深度掘削、大規模発電と異なり、規制基準が緩く、さらに浅い層の熱源を使うことが多いため、温泉事業者とトラブルが発生し始めている現状が散見され、各県による地熱開発基準案策定が急がれる状況です。

 2018年より当協会では資源エネルギー庁や独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との地熱発電に関する意見交換会を再開しました。2020年からは環境省もオブザーバー参加をお願いし、温泉の保護と活用のため、協議を続けております。この協議の中で地熱開発側もかつての地熱開発ありきという姿勢を改め、地熱発電には温泉枯渇などのりスクが伴うことを理解されたと認識しています。

 当協会は、地熱発電開発を行う場合には、現在以下のとおり、五つの条件を満たすことを提案しております。

 (1)地元(行政や温泉事業者等)の合意

 (2)客観性が担保された相互の情報公開と第三者機関の創設

 (3)過剰採取防止の規制

 (4)継続的かつ広範囲にわたる環境モニタリングの徹底

 (5)被害を受けた温泉と温泉地の回復作業の明文化


(略)

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