日本経済新聞(2021年4月29日 7:28)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2906O0Z20C21A4000000/

【ニューヨーク=白岩ひおな】米アマゾン・ドット・コムは28日、米国内で働く従業員のうち50万人超の時給を最大で3ドル(約330円)引き上げると発表した。インターネット通販の受注や配送、荷物の仕分けなどを担う人材を対象に、5月中旬から6月上旬にかけて実施する。賃上げに伴う費用は10億ドル超を見込む。

グローバル人事担当バイスプレジデントのダーシー・ヘンリー氏が同社のブログ記事で明らかにした。引き上げ幅は50セントから3ドルまでとした。毎年秋に実施している給与改定を前倒しする。

アマゾンが米国で雇用する従業員は95万人に上る。同社は2018年に米国内で働く全従業員の最低賃金を時給15ドルに引き上げた。20年には25億ドルを投じ、コロナ禍の最前線で働く従業員に役割や成果に応じたインセンティブやボーナスを支給した。電子商取引(EC)の成長が続くなか、足元でも数万件の求人を募集しており、待遇改善で人材獲得を後押しする。

バイデン政権は連邦最低賃金の15ドルへの引き上げや労働組合の支援などを掲げる。アマゾンのアラバマ州の物流施設では2〜3月、労働組合結成の是非を問う従業員投票が行われた。9日に否決されたものの、賃上げで従業員らが抱える不満の抑制につなげる狙いもある。