2021年4月29日 7時0分
日本農業新聞

 暖かくなり、山菜採りを楽しむ人が増える季節を迎えた。だが誤って有毒な植物を食べることによる食中毒や、熊による被害が毎年のように多発している。最悪、死に至るケースがあるため注意が必要だ。(岩下響、大高摩彩)

“過信は禁物” 迷ったら採らない

 ニラとスイセン、モロヘイヤとチョウセンアサガオ、フキのとうとフクジュソウ――。山菜採りや家庭菜園を楽しむ人が、誤って有毒な植物を食べることで嘔吐(おうと)やしびれなどの食中毒となることが初夏にかけて多発している。

 厚生労働省によるとこの10年間で山菜や野菜と有毒植物を間違えて食べたことによる食中毒は、全国で190件あった。イヌサフランをギョウジャニンニクと誤って食べたことなどで計14人が亡くなっている。厚労省には今年も既に、グロリオサの球根をタマネギと誤食して食中毒が発生した事例が1件報告されている。

 年代別に見ると患者数、死者数とも70歳以上が最多だ。同省食品監視安全課は「食用と判別が確実にできないものは、採らない、食べない、あげないの徹底を」と呼び掛ける。

誤って農産物直売所で販売すれば、消費者にも被害が及ぶ危険性がある。農水省によると昨年も宮崎県で、有毒植物のクワズイモをナガイモと誤認して直売所に出荷して、食中毒が発生したことがあった。このため同省とJA全中は、直売所での有毒植物による食中毒防止の徹底を呼び掛けている。

 農水省は山菜や野菜と有毒植物の見分け方をホームページで分かりやすく紹介している。同省農産安全管理課は「毎年、山菜採りをしている人も絶対に過信しないこと。環境によって色や形が異なることもある。見分けが付かないものは、採らないようにしてほしい」と、注意喚起する。

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