児童虐待や貧困などにより家族と離れ、児童養護施設や里親家庭で育った若者を対象とした初の全国実態調査の結果が30日、厚生労働省から公表された。回答者の3人に1人が生活費や学費で悩み、「貯金がもう底つきそうで死にそう」との声も寄せられた。

 施設や里親など社会的養護を経験した若者は、自立後も親からの生活費や住居の支援が乏しく、生活が不安定になると指摘されている。今回の調査は、こうした若者が何を求めているかを把握し、支援を充実させる目的で初めて行われた。

 対象は2015年4月〜20年3月に、中卒以上で施設などを離れた人全員(2万690人)。就労・就学や家計の状況、健康状態について昨年11月30日〜今年1月31日にアンケートを実施し、2980人から回答を得た。回答者の主な年齢層は18歳〜23歳で、施設などを離れた時点の年齢は18歳が最多の60・0%、次いで19歳10・4%、15歳7・4%だった。

 「現在の暮らしの中で、困っていることや不安なこと、心配なこと」(複数回答)は「生活費や学費のこと」が33・6%で最多。「将来のこと」31・5%、「仕事のこと」26・6%などが続いた。「借金のこと」は9・1%だった。

 月々の収支が黒字と答えたのは全体の26・8%で、同じくらいが31・4%、赤字が22・9%だった。同居人の状況別でみると、「子どもあり」の40・0%が赤字となっていた。

「教育を受ける機会から大変遠ざけられている」
 また「過去1年間に病院や歯…(以下有料版で,残り855文字)

朝日新聞 2021年4月30日 14時00分
https://www.asahi.com/articles/ASP4Z4DVKP4VUTFL00K.html?ref=tw_asahi