2021/5/8 13:53

 クーデターで国軍が権力を握ったミャンマーの第2の都市マンダレーで5日、中国に天然資源を送るパイプラインの警備員3人が何者かに襲われ、殺害された。クーデター以降、国軍と関係が近いとされる中国への反発が高まっており、そうした市民感情を背景にした事件の可能性がある。

 現地メディアによると、襲撃があったのはマンダレーにあるパイプラインの関連施設で、3人は国軍側が手配した警備員だった。
 国連安全保障理事会で国軍への制裁に反対している中国に対し、ミャンマーでは大勢の市民が2月から3月にかけて中国大使館前で抗議デモをした。中国製品の不買運動の呼びかけも広がっている。
 中国側はこうした動きに神経をとがらせ、ミャンマー側にパイプラインの安全確保を徹底するよう要請していた。パイプラインは全長800キロで、年間2200万トンの原油と120億立方メートルの天然ガスを輸送している。
 中国をめぐっては、3月にも最大都市ヤンゴンにある中国資本の複数の工場で火災が発生し、国軍はその後、ヤンゴンの6地域に戒厳令を出した。出火原因は不明だが、現地の中国大使館は「中国企業と職員の安全を確保するため、さらに効果的な措置を講じるよう要請する」との声明を出していた。
 一方、中国が無償提供した新型コロナウイルスのワクチン50万回分が5月2日、ミャンマーに到着した。クーデター前の1月、ミャンマーを訪れた王毅(ワンイー)国務委員兼外相が30万回分の提供を表明していたが、大幅に増やしたことになる。高まる反中感情を和らげる思惑があるとの見方が出ている。

ソース https://www.asahi.com/sp/articles/ASP584DZ6P57UHBI00W.html