新型コロナウイルスの緊急事態宣言対象地域に福岡県の追加が決まってから初の週末となった8日、福岡市などの繁華街では依然として買い物客らの姿が目立った。12日から始まる3度目の“我慢の日々”への慣れ、駆け込み消費…。感染対策を改めて意識しつつも、疲れや不満がにじんだ。

 九州最大の繁華街、福岡市・天神。母の日のプレゼントを買いに来た同市の専門学校生(19)は「オンラインで用事を済ます生活にはもう飽きた。マスクや消毒をしながら、できるだけ普段と同じ生活がしたい」とこぼした。交際相手と待ち合わせていた福岡県大野城市の会社員の男性(27)も、既に県が飲食店などに営業時間短縮を要請していたことに触れ「宣言はその延長という感じ。特別に意識することはない」。

 久しぶりに百貨店で買い物をしたという福岡市南区の男性(75)は「宣言前の今日ならまだ大丈夫と思った。宣言後は改めて外出を控え、感染対策を徹底したい」と足早に自宅に向かった。

 時短要請の対象となる百貨店はイベントなどの予定変更に追われた。博多大丸(福岡市)は8日朝、各地のグルメやスイーツを集めた催事の閉幕を2日前倒しし、9日に終了すると決めた。福岡三越、博多阪急(同)も12日以降に予定していた食品を扱う催事を中止する。

 NTTドコモのデータ解析によると、天神周辺の8日午後3時の人出は、コロナ禍前と比べて28・4%減。ただ、2度目の緊急事態宣言が福岡県に出る直前の1月9日(同38・3%減)に比べると、減り方は鈍く、「自粛慣れ」も垣間見えた。(森亮輔、布谷真基)

西日本新聞 2021/5/9 6:00
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