延伸計画は実現しなくても…地下通路で結ばれる新宿駅と西武新宿駅

西武新宿駅(画像:西武鉄道)。

 2021年4月26日(月)、西武鉄道が西武新宿駅と東京メトロ丸ノ内線の新宿駅を直結する地下通路の新設計画について、その「事業予定者として都市計画決定後の早期実現に向けた具体的な検討や関係者間の協議を進めていく」と報道発表しました。同日、地元の新宿区もこの計画について説明会を開催しています。

かつての「地下急行線」計画を下敷きにした新設の地下通路計画

 新設される地下通路は、丸ノ内線新宿駅がある新宿通り直下の「メトロプロムナード」と、その北側、靖国通り直下の「新宿サブナード」をJR線に沿う形でつなぎます。距離は約140mです。なお、メトロプロムナードはJR新宿駅ともつながっています。

 両地下街は、新設通路よりやや東側でつながっていますが、JR線や丸ノ内線と西武新宿線を行き来する動線としては、少々迂回する形になっていました。新設される通路を経由すれば、地下のみで移動した場合の西武新宿駅(地下階出入口)〜メトロプロムナード間の所要時間は、約11分から約5分に短縮される見込みだといいます。

 この新設通路の事業主体として西武鉄道が予定されているのには、理由があります。それは、西武新宿線の2度にわたる延伸計画を下敷きにしているからです。

 新宿に接続する各路線と比べて、靖国通り北側のやや離れた位置にある西武新宿駅が開業したのは1952(昭和27)年のこと。もともとは「仮駅」という位置づけで、新宿駅東口まで延伸する計画がありました。

 西武新宿駅から国鉄(現・JR)線沿いに高架線を建設し、新宿駅ステーションビル、現在の「ルミネエスト新宿」の2階部分に6両対応・1面2線のホームを設けて乗り入れる予定でした。しかし、その間に西武新宿線は乗客が急増し、ターミナルとしてあまりに小規模なことから、延伸計画は頓挫してしまったのです。

 しかし西武はあきらめていませんでした。

2度目の延伸計画も頓挫

新宿ステーションビルは現在のルミネエスト新宿。当初、この2階に西武線が乗り入れる計画だった(乗りものニュース編集部撮影)。

 2度目の新宿駅方面への延伸計画は、地下駅での接続が予定されました。西武新宿線の複々線化事業の一環として、上石神井から西武新宿まで、地下に「急行線」を建設し、現在のメトロプロムナードに接続する形でホームを設けるというものでした。この計画は1987(昭和62)年に国から認可され、翌年からは建設費を賄うべく運賃加算も始まっています。

 しかし、バブル崩壊や工事費の高騰、将来の輸送需要の見直しを理由に、西武は1995(平成7)年、複々線化計画の中止を発表。積み立てた運賃加算分も、2002(平成14)年までに特別減算運賃という形で利用者に還元しています。

「かつての地下急行線計画のなかに、改札外コンコースとして、今回の地下通路に相当する計画がもともと含まれていました。しかし急行線の計画が廃止となったため、今回新たに東京都と新宿区が都市計画手続きを行います」。

 西武鉄道は今回の地下通路の新設について、このように話します。現在、地下急行線の都市計画の廃止手続きと、新たな地下通路の都市計画手続きが並行して進められており、今後審議されるといいます。

 今回の計画は、東京都と新宿区が2018年に策定した拠点再整備方針「新宿グランドターミナル」構想の一環です。西武鉄道としても、西武新宿駅の利便性を高めたい思いがあったところ、再整備の計画と歩調を合わせて進められることになったということです。

「新宿グランドターミナル」構想は、このほかにも新宿周辺に地下通路を新設し、既存駅の地下通路どうしをつなげる計画が盛り込まれています。かんたんにいうと、点在する各線の拠点を、ひとつの「グランドターミナル」と捉え、地域の回遊性向上につなげるコンセプトです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ba881bb84fd8c20c18fe5cd4c7d3130e93573444
4/28(水) 9:40配信


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