https://news.yahoo.co.jp/articles/6cae16463f7a781a79d34ba3edaa0c2b590c1d4c
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ユネスコの世界自然遺産に登録される見通しの奄美大島で「ノネコ3000匹殺処分計画」があることを知らな
い人がいるのが現実です。
 環境省はなぜ、このような計画を進めているのでしょうか。
世界自然遺産の登録のため…
 奄美大島は、徳之島、沖縄本島北部のやんばる地域、西表島とともに、世界自然遺産への登録を目指していま
した。
 日本には、「知床」「白神山地」「小笠原諸島」「屋久島」という4つの世界自然遺産があります。奄美大島
は、五つ目の世界自然遺産となる予定です。
 そこで問題になるのが、ノネコの捕食活動です。
 奄美大島では、ノネコが「アマミノクロウサギ」や「ケナガネズミ」といった希少種を捕食する様子が写真や
映像に撮影されて、問題になっています。
 ノネコの糞(ふん)の分析からもそれらの希少種を捕食していることが確認されています。ノネコが生きるた
めに小型哺乳や鳥類を必要としていることがわかります。
 しかし、世界自然遺産への登録を目指す奄美大島では、希少種を守るためのノネコ対策が重要な課題となって
くるわけです。環境省は、年間300匹のノネコを捕獲して10年で3000匹を捕獲して処分する計画がある
のです。
「ノネコ」とは何か?
 そもそも「ノネコ」とは何か、定義を見ていきましょう。
 奄美大島は、鹿児島にある島です。南には沖縄があります。暖かい地域です。沖縄の「イリオモテヤマネコ」
は、よく知られています。こんな地域なら、ノネコはいそうだと思うかもしれません。
 しかし、日本には、自然界にいる猫科の動物は、「イリオモテヤマネコ」と「ツシマヤマネコ」だけです。
 つまり奄美大島は、野生の猫科の動物は元来いないのです。このふたつのヤマネコは種の保存法に基づき国内
希少野生動植物種に指定されて大切に保護されています。
 それでは、なぜ、奄美大島にノネコがいるのでしょうか? 
 それは、人が猫を持ち込んだからです。畑や集落の辺りには、猛毒を持つハブがいます。ハブは、餌となるネ
ズミを求めて人の生活圏にも出没するのです。そのため、猫を放し飼いにして、ネズミを取ることによって、ハ
ブが近づかないようにしたのです。
 奄美大島では猫はペットという存在であると同時に、ネズミ対策やハブ対策なのです。
 このように人が持ち込んだ猫が、放し飼いにされて、自分の力で小動物を捕食して生きけるようになった猫を
「ノネコ」と定義しています。
 一般的には、ペットとして飼われて飼い主のいる猫を「飼い猫」、集落で人から餌をもらっている猫を「野良
猫」と分類しています。
 簡単にまとめると以下です。
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・ノネコは、飼い主がいなくて自分で小動物を捕食している
・野良猫は、飼い主がいないけれど、人から餌をもらっている
・飼い猫は、飼い主がいて人から餌をもらっています。
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 「野良猫」と「ノネコ」の違いは、人から餌をもらっているか否かで区別するのです。はっきりさせようとす
るには、解剖して消化器系の内容物を調べるか、ウンチなどから寄生虫の有無などを調べないとわかりません。
 つまり見た目で「野良猫」と「ノネコ」の区別ができないことは問題なのです。野良猫ももちろん、野生小動
物を捕食します。
 なぜ、「ノネコ」と「野良猫」の区別がそんなに大切かというと法律の問題があるのです。
 それは、動物愛護法では猫を「愛護動物」とみなし、みだりに殺したりすれば違法行為です。
 一方で、ノネコは鳥獣保護法の「有害鳥獣駆除」という形で自治体が捕獲することが可能になります。行政が
ノネコを殺処分しても「殺処分数」としてカウントされないのです。