長引くコロナ禍は社会や経済を変えたが、日本人のセックスにも大きな影響を与えている。昨年の1度目の緊急事態宣言発令時に行った男女1万人を対象にした調査では、20代の若者を中心に性交渉の頻度が激減したことが分かった。別の調査では妊娠の届け出数も減少しており、少子化に拍車がかかりそうだ。

 「セックスが減った」との調査は、厚生労働省の補助金事業として日本家族計画協会がまとめたもので、2020年3月下旬から5月下旬にかけて20〜69歳の男女1万人を対象に実施した。

 「セックス頻度の変化」における調査では、「していない」と回答した男性が39・5%、女性が59・8%だった。

 回数が「減った」と回答したのは男性が9・4%、女性は6・4%。中でも20代に限ると、男性が16・6%、女性が18・7%だった。

 回数が減った理由については、最初の緊急事態宣言の発令期間だったこともあり、「外出を控えていた」が44・2%。「機会がなかった」「その気になれなかった」との回答もあった。

 同協会は「巣ごもりがセックスの頻度を増加させる」という仮説が成り立っていないと指摘、セックスの頻度の減少は出生率の低さにも関係しているとみる。

 北村邦夫理事長は「自粛下でセックスが増えることも想定していたが、実際は減少した。コロナ禍における心境が『充実していなかった』と回答した男女では、セックスの頻度が低下していた」との傾向を示す。

 年初からの2度目、現在の3度目の宣言下では調査を行っていないというが、北村氏は「コロナに限らず、今後可能性のある人災や天災などで自粛を余儀なくされたときにも同様なことが起こると想定して政府に提言している」と話す。

 新型コロナの影響が出ているのはセックスの頻度だけではない。厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、19年の婚姻件数は「令和婚ブーム」で前年比3・3%増だったが、20年1〜11月は前年同月比約12・3%減と落ち込んだ。同じ時期の妊娠届け出数も同約5・1%減だった。

 コロナ後の将来像について、前出の北村氏は「1918年のスペイン風邪や57年のアジア風邪後にベビーブームが起こっている。しかし時代背景が異なっているため、アフターコロナでベビーブームが起こるとはとても期待できない。少子化が進行することを前提に、どのような社会を作ることができるかを考える時期にあるだろう」と応えた。


2021年5月17日 17時6分
ZAKZAK(夕刊フジ)
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