■21年の経済成長率は軒並み上方修正
ワクチン接種が進む中、日本は一人負け

 世界では新型コロナウイルスとの戦いの「出口」が見え始めたようだ。

 4月6日、国際通貨基金(IMF)が公表した最新の「世界経済見通し(WEO)」。
2021年の世界経済(実質GDP<国内総生産>)の成長率はプラス6.0%になるという見通しで、1月時点の予測から0.5ポイント上方修正した。

 コロナショックに見舞われた20年の世界経済成長率はマイナス3.3%と、第2次世界大戦以降で最悪を記録した。
そこから一転、21年は1980年以降で過去最高の成長率となる予測で、
「不透明感の高い中でも公衆衛生と経済の危機の出口が見えてきた」とIMF経済顧問兼調査局長のギータ・ゴピナート氏は総括した。

 IMFのレポートによれば、年始の予想を上回る経済回復の背景にあるのは、ワクチン接種の普及や米国などの巨額財政支援、そして新しい働き方への適応だ。
その一方で、ゴピナート氏はこう警鐘を鳴らした。

 経済の回復について、各国間および各国内で危険なほどの差が開きつつある――。

 ゴピナート氏の指摘通り、今回経済成長率を大きく上方修正した国に共通するのは、コロナのワクチン接種が進んでいることだ。

 例えば成長率を1.3ポイント上方修正して6.4%の見通しとなった米国では、ワクチン接種回数が2億回を超え、
必要な回数のワクチン接種を完了した人の割合が3割弱に達している(4月25日時点)。

 他にも、人口の2割弱の接種が完了している英国の成長率は0.8ポイント上方修正して5.3%と、
ワクチン接種の進捗状況が、コロナ禍からの経済回復のバロメーターの一つになっている。

 こうした世界の状況と比べると、日本は他国に差をつけられている側の“負け組”だ。

 海外と比べてコロナの感染者数や死者数を人口比では抑え込んでいるはずの日本。
ところが経済成長率の見通しは3.3%と主要国で最も低く、世界から取り残されつつある。

 日本のワクチン接種回数は他の主要国よりも1〜2桁少なく、接種が完了した人の割合で見ても主要国で唯一1%未満と、ワクチン争奪戦の“敗北”は鮮明だ。

 そして4月25日、東京や大阪などで3度目の緊急事態宣言が発令された。
なんとしても感染拡大を抑え込み、東京オリンピック・パラリンピック開催にこぎ着けたいのだろうが、再度の経済の冷え込みは避けられない。

(以下略、全文はソースにて)
https://diamond.jp/articles/-/270432