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店主の兵頭秀一さん。屋上にはメダカ水槽がずらりと並ぶ=いずれも葛飾区で

とある住宅街に都内では珍しいメダカ専門の販売店が現れた。店を開いたのは野心あふれるベンチャー起業家。なぜメダカ? そしてなぜ今? さまざまな業界を渡り歩いてきた店主が「年商2000万円はいける」と自信たっぷりに語るメダカ屋さんの魅力とは。

ビジネスの世界では、競争相手が多い市場を「血で血を洗うような海」に例えてレッドオーシャンと呼ぶ。対して、競合が少ない未開拓市場はブルーオーシャン。葛飾区堀切でメダカ専門店「堀切めだか」をオープンした兵頭秀一さん(56)は「こんなすがすがしい海は初めて見た」と語る。

◆キムタクも熱視線

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ところ狭しと水槽が並ぶ葛飾区の「堀切めだか」の店内

店内を泳ぐのは観賞用に品種改良されたメダカ。誕生したのは2000年ごろと言われ、金魚に比べて観賞用としての歴史は浅い。

◆「10年前のYouTuberのようなもの」

今年2月にタレントの木村拓哉さんが飼い始めたことをSNSで紹介して注目度が急上昇したが、愛好家以外のニーズが高まりだしたのはここ数年のこと。兵頭さんは「だからメダカ屋さんがビジネスになると考える人はいなかった。10年前のユーチューバーのようなもの」とライバルが少ない背景を解説する。

人気の秘けつは飼いやすさ。「人間に例えると金魚は風邪をひきやすいが、メダカは丈夫」と兵頭さんは言う。また、新しい品種がどんどん生まれており、ポケモンのように、つい集めたくなってしまうコレクション性もある。

◆目の前に広がっていたブルーオーシャン

趣味の1つとして確立されつつあるにもかかわらず、人口が集中する首都圏でメダカ専門店はわずかだった。兵頭さんは直感した。「これはどえらい市場になる」。見込み通り、目の前に広がっていたのは波穏やかなブルーオーシャンだった。

最寄り駅から徒歩20分の立地ながら、取材に訪れた平日も、店は幅広い世代の客でにぎわっていた。世界3大美人になぞらえた赤い体の「楊貴妃」や、漆黒の「オロチ」などが人気。手頃な品種なら、1匹100円から買える。

飼育歴2年という葛飾区のリフォーム業吉原和磨さん(42)は「ネット通販では写真と違う品種が送られてきたこともあった。実物を見ながら選べる店をずっと近場に求めていた」と上機嫌に語り、15000円分を買い込んでいた。

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楊貴妃 鮮やかな赤い色が世界三大美人になぞらえられた。1匹500円

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神龍 アルビノの希少種。ペアで8万円する

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みゆき 青白い体の色が特徴。1匹500円

◆起業家の勘

スーパー、パチンコ店などを渡り歩き、今は大手就活情報サイトを手掛ける兵頭さんがメダカの販売に興味を持ったのは昨年6月。昔からの趣味だった金魚のランチュウを育てるうちにメダカのことも知りたくなり、ふらっと訪れた埼玉県内の専門店で驚いた。「メダカで3人も雇えるのか」。起業家歴17年の勘が働いた。

ネットオークションで500匹を仕入れ、2カ月で開店。メダカは飼育環境が良ければ産卵からふ化までわずか10日。ペアを迎えれば仕入れコストがかからず「商品」が増えていく。開店から1年未満。飼育数は100種類、10000万匹を超え、自宅屋上は飼育用プールで埋め尽くされている。

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卵を付けて泳ぐメダカ。産卵から10日でふ化するメダカは、繁殖させやすい利点がある


※以下省略。記事全文はソース元にて

2021年05月19日 07時06分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/105110