政府の大規模接種センターの予約に関し、朝日新聞出版のニュースサイト「AERA dot.」と毎日新聞などが架空の接種券番号で予約できると報じたことをめぐり、大阪市の松井一郎市長は21日、「行き過ぎた取材手法で、愉快犯的なものになるのでは」と述べた。市役所で記者団に答え、反論した朝日新聞の記者と応酬を繰り広げる一幕もあった。

 市は同日、市独自の大規模接種はインターネットのみで予約を受け付けるなどと公表した。このことに絡み、松井氏は「国の大規模接種センターもオンラインのみの受け付けだったが、混乱はなかった。毎日、朝日の愉快犯的なことはあったが」と皮肉った。

 これを受けて朝日新聞の記者は、安倍晋三前首相がツイッターで「朝日、毎日は極めて悪質な妨害愉快犯」とつぶやいていたことなどを引き合いに、「松井氏も同じ考えか」と質問。松井氏は「偽造して予約する必要があったのか。予約システムに不備があると、鬼の首を取ったように報道する意味がどこにあったか」と述べた。

 記者は「AERA」記者と面識はないとしつつ、「鬼の首を取ろうと思ったのではない。チェックするのが仕事であり、普通の取材行為だ」と指摘。一方、松井氏はシステムを所管する防衛省に取材すればいいとし、「なぜ偽造番号で予約するのか。大勢が(予約を)待っており、まじめに番号を打った人の邪魔をした」と語った。

 朝日記者は「愉快犯というと犯罪のようだ。ふざけてやっているわけではない。公益性はある」などと反論したが、松井氏は「偽造してやるのは、犯罪とはいわないがおかしい」と批判。「公益性があるというならそれは朝日新聞の考え方。僕らの考え方では不必要な取材だった」と持論を展開した。

5/21(金) 21:36 産経新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a2bc5b6dbdd4a4813a5e92b7258ad9175fd3c26