■NHK(05月25日 15時43分)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210525/2000046150.html

この夏の電力需給は首都圏や関西圏など多くのエリアでここ数年で最も厳しくなる見込みだとして経済産業省は25日に開いた有識者の会議で家庭や企業に電気の効率的な使用を呼びかけるなど安定供給を確保するための対策をとりまとめました。

経済産業省はこの夏は老朽化した火力発電所の休止や廃止による供給力の減少を要因に電力需給が厳しくなると見込んでいて、25日に開いた総合資源エネルギー調査会の小委員会で電力供給の余力を示す「予備率」の見通しを示しました。
それによりますと「予備率」は▼7月は北海道と沖縄を除くエリアで3.7%、▼8月は本州と四国の7つのエリアで3.8%まで低下するとしています。
これは10年に1度程度の猛暑を想定したものですが、安定供給に最低限必要とされる3%の予備率をかろうじて上回るここ数年で最も厳しい水準を見込んでいます。
これを踏まえ、経済産業省は、小委員会で対策を議論し▽家庭には日常生活に支障のない範囲で電気の効率的な使用を呼びかけること。
▽企業にはオフィスや工場での省エネに加えて、電力需要が高まる時間帯に電気の使用を抑える取り組みに応じるよう要請していくとしました。
また、▽電力会社に対し、メンテナンスを徹底し発電設備のトラブルを防ぐとともに燃料の十分な確保を要請するとした対策をとりまとめました。
一方、経済産業省は今度の冬の電力需給について10年に1度程度の厳しい寒さを想定した場合、東京電力管内の「予備率」がマイナスまで低下するなど多くのエリアで一段と深刻な状況が見込まれるとして、今後、供給力の確保に向けた対策を急ぐことにしています。

【経産相“需給厳しく対策速やかに”】。
梶山経済産業大臣は25日の閣議のあとの記者会見で「電力の安定供給は、国民生活や経済活動に不可欠だ。厳しい電力需給になる見通しのこの夏と冬においても安定供給に万全を期す。電力会社への要請や産業界への呼びかけといった夏の対策や、追加的な供給力の確保などの冬の対策、さらに構造的課題への対応などについて速やかに実行していきたい」と述べました。

【関西電力管内も厳しい電力需給】。
関西電力の管内でもこの夏、電力の需給がここ数年で最も厳しくなる見通しであることがわかりました。
関西電力の管内では、この夏、電力の供給にあたってどれだけ余力があるかを示す、「予備率」の見通しが、7月は3.7%、8月は3.8%となっています。
これは、10年に1回程度の猛暑を想定したもので、安定供給に必要とされる3%の予備率をかろうじて上回る水準です。
ここ5年間でみると夏の「予備率」の見通しは5%台から8%台となっていて、この夏は電力の需給がここ数年で最も厳しくなる見通しです。
需給が厳しくなる原因について関西電力ではLNG=液化天然ガスを燃料とする姫路第二発電所でことし、老朽化した一部の発電機を廃止したほか、発電所の補修工事に伴う供給力への影響が大きくなる見込みだということです。
関西電力では家庭や企業に電気の効率的な使用を呼びかけることにしています。