原子の粒で描いた世界最小のアマビエをご覧あれ――。茨城県つくば市の物質・材料研究機構(NIMS〈ニムス〉)は、物質をつくる基本的な粒子である原子を動かせる装置を用いて、疫病退散の妖怪の姿を再現した。

 ドット絵の大きさは縦横約45ナノメートル(ナノは10億分の1)。細菌などと比べてはるかに小さい新型コロナウイルスでも直径100ナノメートル程度とされ、それを下回るサイズだ。

 23日にオンラインで開いた一般公開イベントの一環。原子の表面近くを極細の針でなぞって読み取る走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた。針で触って移動させることもできるため、鉄の原子約150個を使い、研究者が2時間半かけて絵を完成させた。

 新型コロナの感染拡大など、社会の難局に打ち勝つのは科学の力だと訴えるのが今年の催しのテーマだった。担当者は「一般の人がびっくりする科学技術はすでにある。アマビエの絵を通して希望を感じてもらえたら」と話した。(庄司直樹)
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