アメリカの大手石油会社「エクソンモービル」の株主総会で、取締役会の新たなメンバーに、気候変動対策の強化を求めるいわゆる“物言う株主”が推薦した2人が選任されました。会社側はこの議案に賛同しないよう呼びかけていたため、現地メディアは「石油の巨人の歴史的な敗北」とも伝えています。

エクソンモービルは26日に株主総会を開き、いわゆる“物言う株主”で、投資会社の「エンジン・ナンバーワン」からこの会社が推薦する4人を取締役会のメンバーに加えるよう求める議案が提出されました。

エクソンは投票の結果、暫定的な集計として、4人のうちの少なくとも2人が取締役に選任されたと発表しました。

人事案を提案した投資会社は、総会の前からエクソンの経営陣による気候変動対策が十分でないと主張し、今回、ほかの多くの株主からも一定の賛同を得た形です。

一方、エクソン側は株主にこの議案に賛同しないよう呼びかけていたため、有力紙のウォール・ストリート・ジャーナルは、「石油の巨人の歴史的な敗北」とも伝えています。

ウッズCEOは「新しい2人の取締役を歓迎する」という声明を出しましたが、今後、踏み込んだ環境対策を迫られる可能性があります。
気候変動関連の株主提案2倍以上に
「エクソンモービル」はアメリカのエネルギー大手で、「スーパーメジャー」と呼ばれる欧米の石油大手5社の一角を占める巨大企業です。

一方、今回、議案を提案した「エンジン・ナンバーワン」は、新興の投資会社で、エクソンの株式をわずか0.02%しか保有していませんでした。

それにもかかわらず、多くの株式を持つ機関投資家などから賛同を集めたことで取締役を送り込むことに成功したとみられていて、アメリカメディアが相次いで速報するなど、衝撃を及ぼしました。

先進国では、株主が企業に対して、気候変動対策を強化するよう求める動きが進んでいて、議決権行使の助言を行う企業「グラスルイス」が公表した資料によりますと、去年、アメリカで提出された気候変動関連の株主提案はおととしの2倍以上に増え、こうした提案に賛同する株主の割合も、おととしの26%から、去年は34%にまで伸びたということです。

背景には、投資家だけでなく、消費者の間でも商品などを選ぶ際にその企業が環境対策に取り組んでいるかどうかを重視する傾向が出ていることや、気候変動問題への国際的な機運の高まりが関係しているとみられます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210527/k10013053811000.html