自然災害増え収支悪化、火災保険料が大幅値上げへ
2021/05/28 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210527-OYT1T50337/

 火災保険料が大幅に値上げされる見通しとなった。豪雨や台風など、自然災害が増えているためだ。損害保険各社で作る「損害保険料率算出機構」は、一般住宅を対象とする火災保険料の目安となる「参考純率」を、約11%引き上げる方向で調整している。金融庁に届け出て審査を受けた後、正式に発表する。

 参考純率は、損保各社が過去に支払った保険金額などを踏まえて算出される。引き上げが決まれば、2019年以来、2年ぶり。引き上げ幅は05年(8・7%)を上回り、過去最大となりそうだ。


 損保各社は、22年度に火災保険料の値上げに踏み切るとみられる。参考純率を目安に、個別の事情を加味するため、値上げ幅は11%よりも大きくなる可能性が高い。19年に参考純率が4・9%引き上げられた際には、損保大手4社は保険料を6〜8%値上げした経緯がある。

 火災保険は、火事による家屋の損害だけでなく、風水害による被害にも保険金が支払われる。ここ数年、自然災害は増加傾向にあり、主要各社の火災保険収支は赤字傾向となっている。

 日本損害保険協会によると、18年度の損保各社の自然災害に伴う保険金支払額(地震による被害を除く)は、過去最大の約1・5兆円になった。19年度も1兆円を上回った。20年度は約2500億円に減少したものの、自然災害の増加に、値上げのスピードが追いついていないのが実情だ。

 機構は、自然災害の発生状況を、なるべく早く保険料に反映することを目指し、参考純率の適用期間を、これまでの10年から5年に短縮する。契約のタイミングによって保険料に大きな差が出ることを防ぐ狙いもある。主要各社の火災保険の契約期間は、22年度以降、現在の最長10年間から、最長5年間に短縮される見通しだ。