コロナ抑え込みに失敗し、ワクチンが遅々として行き渡らない日本。国民も世界の人々も、このまま五輪なんて到底ムリだと言っている。それなのになぜ、権力者たちは暴走を止めようとしないのか。発売中の『週刊現代』が特集する。

日本の評価は地に落ちた

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 「ドイツをはじめとした欧米各国では、国民の半数近くがコロナワクチンの接種を1度は受けています。接種が完了した人には外出制限を緩めたり、マスクを外しても構わないという動きも出ている。

 しかし翻って日本は、ワクチンに関して信じがたいほど遅れをとっています。きわめて困難な状況に陥っているにもかかわらず、東京五輪を強行しようとしているのは、日本人の高いプライドのなせる業なのでしょうか」

 こう語るのは、ドイツ・ボン大学国際哲学センター所長のマルクス・ガブリエル氏だ。

 世界的ベストセラー『なぜ世界は存在しないのか』などで著名なガブリエル氏が住むドイツでは、昨年12月26日からコロナワクチンの接種が始まった。

 5月末時点で全国民の4割強、約3500万人が1回以上の接種を終え、7月中には全国民が接種を完了する見通しだ。

 日本を除く先進各国はいま、猛烈なペースでコロナワクチンを打ちまくっている。物量で他を圧倒するのがアメリカだ。

 各国に先んじて12月14日から接種を開始すると、街のスーパーマーケットやドラッグストアなどで、いつでも誰でも受けられる体制を確立。1日200万人以上のハイペースで打ち続け、接種済みの国民は半年足らずで1億6000万人を突破した。

 かたや日本は、惨憺たる状況である。2月17日にようやく接種を始め、一日の接種者数が10万人を超えるまで2ヵ月がかかった。いまや欧米諸国はおろか、トルコやブラジルにも大きく引き離されている。

 バブル期に日本の凋落を予言したベストセラー『日はまた沈む』の著者で、イギリス「エコノミスト」誌元編集長のビル・エモット氏が言う。

 「日本政府のワクチン政策は、大失敗と言わざるを得ません。世界ですでに何百万、何千万人が接種を済ませているワクチンの認可に何ヵ月も手間取った。

 迅速で効果的な接種プログラムを作ることも実行することもできなかった。これらの事実は、すでに日本の国際的な評判に大ダメージを与えています」

https://news.yahoo.co.jp/articles/0264d1d3ba029bcb7ddbc3a870f4d20c150ca321
5/28(金) 7:02配信