https://www.dreamnews.jp/press/0000237377/
 この共通見解は、国連薬物犯罪事務所(UNODC)を筆頭に、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、平和活動局(DPO)の
法の支配・治安機関担当室が共同で作成したもので、加盟国が現在の過剰な収監状態を再考することを支援するための国連の共同ビジョンとなっています。
日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、「収監に関する国連システムの共通見解」の和訳を学会サイトに5月28日付けで公表しました。

国連システム全体として、
(i)予防と非拘禁措置への政策転換、
(ii)刑務所の状況改善と刑務所管理の強化、
(iii)犯罪者の更生と社会復帰の促進を目的とした政策提言と技術支援を強化することを約束しています。

共通見解は、刑務所の改革と犯罪者の処遇を、緊急の司法と法の支配の優先事項として、
また「誰一人取り残さない」という持続可能な開発のための2030アジェンダのコミットメントの不可欠な部分として、しっかりと位置づけています。
具体的には、持続可能な開発のための2030アジェンダ「目標3:すべての人に健康と福祉を、目標16:平和と公正をすべての人に」が中心的なターゲットです。

オーストリアのウィーンにおいて2021年5月20日 第30回犯罪防止・刑事司法委員会(CCPCJ)の会期中のサイド・イベント(※)にて、
国連薬物犯罪事務所(UNODC)のガーダ・ワリー事務局長は開会の挨拶で、共通見解の調査結果と提言が、
「人権とエビデンスに基づく政策を優先しつつ、収監と更生のための新たなアプローチに火をつけることになる」ことを切に望みました。

また、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の加藤美和オペレーション・ディレクターは、
「共通見解は、刑事司法政策や収監への依存に関して、パラダイムシフトを提唱することをためらわない」
と強調しています。

つまり、刑罰や社会的隔離から、予防、リハビリテーション、修復的司法、社会復帰への転換です。
共通見解において薬物政策は、下記のように明記されています。

p11
国連システムは加盟国に対し、法整備や、効果的な法的支援と安価な保釈金へのアクセスを対象とした刑事司法改革を通じ、
公平性と適正手続の原則に導かれた各国の刑事司法制度の効率化を図ることで、公判前勾留の使用を狭義の状況に制限することを支援する。
この趣旨は、犯罪の性質、重大性、事情、犯人の経歴等を踏まえ、転用等の非拘禁的措置の適切な配慮を確保するなど、
比例的で個別的な量刑を推進するための取組に盛り込まれたものである。

薬物使用障害のある人の場合、このアプローチは、エビデンスに基づいた自発的な薬物治療のほか、地域社会レベルでの
他の保健サービスへのアクセスを高めることも目的となる。
このようなアプローチは、健康志向のアプローチが薬物使用の減少に最も効果的であり、それが引き起こす社会的危害を軽減することに
最も効果的であるという明確なエビデンスによって支持されているだけでなく、国際薬物統制条約にも完全に遵守されている。
薬物使用障害の現象は、公衆衛生上の問題であり、健康中心で倫理的基準に沿ったエビデンスに基づく対応を必要とする。

国連システムは、薬物関連の軽微な犯罪を含め、適切な場合には、比例的かつ個別的な量刑政策と、有罪判決や
刑罰の代替手段を確保することを目的とした改革努力を支援する。また、国際人権法で保護されている行為の非犯罪化についても同様に提唱する。

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