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東京五輪と緊急事態宣言は、それぞれ日本経済にどれほどの影響を与えるのでしょうか。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト、木内登英さんに話を聞きます。

木内さんが算出した試算によりますと、もし東京五輪を“観客を制限なく受け入れて開催した場合”、仮設施設の建築費や輸送費、そして観客のチケット代や宿泊費用など、経済効果は合わせて1兆8000億円に上るといいます。

ただ、中止となった場合は、これがすべて経済損失になります。

(Q.1兆8000億円は、経済全体で見ると大きいですか?)
木内登英さん:「もちろん開催しないことによって打撃を受ける企業はいると思いますが、1兆8000億円は経済全体からすると、必ずしも大きくありません。例えば、名目GDPの0.33%くらいで、2020年度の実質GDPは4.6%落ちているので、それと比べるとかなり小さいです。ですので、大会を開催したら景気が急回復して、中止したら急失速するということではないと思います」

一方、去年の4月に出された1回目の緊急事態宣言では、約6.4兆円の損失でした。今年1月の2回目では、6.3兆円、そして現在も続いている3回目では、来月20日までの延長となると、約3.2兆円の損失となる見通しとなっています。

(Q.なぜ、これだけ大きな損失になるのでしょうか?)
木内登英さん:「これは主にサービス消費と言われる部分が落ちます。感染リスクがあり、規制措置が取られると、人と人が接する対人型サービスの規制が強化されます。例えば飲食やアミューズメント、学校などが消費に占める比率は大きいので、そこが落ちると、このぐらいの経済損失が出てきます。

3回目の緊急事態宣言は、全国に出ていた1〜2回目と比べると対象地域が狭いので、損失が小さくなっています。ただ、これで終わりかどうか分からないので、さらなる延長や対象地域の拡大で、損失の規模が大きくなる可能性があります。これと比べると、東京五輪を開催しないことによる経済損失は小さいということが言えると思います。

『経済効果が高いので開催する』という意見もありますが、こうして見ると、そこまでの効果ではありません。あくまでも開催するかしないかは、感染リスクをしっかり抑え込めるかどうかで判断しないといけません」