京都新聞(2021年5月28日 19:39)
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 大津市立中学校の元男子生徒が野球部の練習中、打球が目に当たり、視力低下を伴うけがを負ったのは顧問らの安全指導が不十分だったためだとして、生徒側が市に約300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大津地裁であり、堀部亮一裁判官は市に約114万円の支払いを命じた。

 判決によると、元男子生徒は市立中1年だった2016年11月、野球部の練習で打球を処理中、続けて飛んできた打球が右目に当たり、網膜裂孔と診断された。顧問の教諭らは、打球の処理後に次の打撃を始めるよう指導するべきだったがしていなかった。原告側は手術後に視力が1・0から0・2に落ちたと主張。市側は指導の過失は認めたが、事故と視力低下との因果関係はなく、通院費などは賠償できないとしていた。

 堀部裁判官は「まだ若い原告にとって、事故後の2度の手術や、視力低下などに対する不安感は相当のものだ」などと指摘し、慰謝料を算定。一方、経過観察の費用などは認めなかった。

 大津市教育委員会児童生徒支援課の橋本岩記課長は判決後、「被害にあった生徒や保護者に申し訳なく思う。事故の反省点を小中学校に伝え、安心安全な学校作りに努める」と話した。