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ドイツのアフリカ兵を蹴散らして進撃する英国軍(C)World History Archive/ニューズコム/共同通信イメージズ

「歴史の神」はレーニンとウィルソンそしてヒトラーを生み出した
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/289884

 第1次世界大戦と第2次世界大戦は連結しているのではないか。もっとわかりやすくいうならば、20世紀の前半に人類史が劇的に変わったのではないか、と思われる。それは従来の戦争の概念を変えることで、戦争によって「歴史」をつくる時代を終わらせるための、世界戦争を体験させたのである。

 私は特別に宗教にくみしている立場ではない。しかし歴史を俯瞰すると、「歴史の神」「歴史の悪魔」というべき存在がいるのではと考えたくなる。人類が新しい段階に進む時には、必ずある人物が呼び出されて歴史に挑む。第1次世界大戦を終わらせるために、その「歴史の神」は2人を呼び出した。ロシア革命のレーニンとアメリカのウィルソン大統領である。この2人に大戦の終結を命じ、第1次世界大戦は終わった。その後「悪の象徴」としてヒトラーをつくり、人類史の再編成を試したように思う。第1次世界大戦と第2次世界大戦が連結しているという意味は、次の2点を考えればすぐにわかることだ。

1 第2次世界大戦は、第1次世界大戦の復讐戦であり、軍事の決算は軍事で奪回するという思想による戦争であった。
2 人類が破滅に至る絶滅世界戦争を行わないように2つの兵器(毒ガスと原爆)を製造させた。

 こうした2つの意味を考えると第2次世界大戦をもって世界戦争は終わり、もし今度この種の戦争が起こったならば人類は自ら滅亡するということになるのであろう。20世紀前半の戦争は、そういう意味の戦争であった。だから2つの戦争はほとんど同じ理由で、同じような形(むろん全てがというのではない)で進んだ戦争であり、それゆえに連結しているというべきだと私は考えている。

 この時に「20世紀の戦争」を見た場合、第1次世界大戦の終結(1918年)から、第2次世界大戦の開始(1939年)までの21年間をどのように理解するかが鍵である。この期間は、一般には「戦間期」とか、「失われた時代」といわれる。戦争と戦争のつなぎの時間なのである。しかし両大戦が連結していることは、チャーチルの「戦間期とは、戦争がたばこを吸ってひと休みしていたに過ぎない」との言葉が、よく示している。逆に戦間期とは、戦争が次の出番を待って一服していたといってもいいことになる。21年間の戦間期には、いろいろな事件、事象が詰まっている。これを見る尺度を持つことで、私たちは「歴史の神」が日本にも意外に重要な役割を与えていたことを知ることになるのではないか、と思う。 =つづく