6/1(火) 7:20
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河北新報

 2年ぶりに青森県弘前市で開かれた弘前さくらまつり(4月23日〜5月5日)について、弘前大大学院医学研究科の萱場広之教授(感染制御)は31日、「人の流れが増え、新型コロナウイルス感染者の増加に影響があった」との見解を示した。

 萱場氏ら青森県感染症対策コーディネーターを務める3氏が、まつり期間前後の弘前保健所に関連する感染者を調べた。

 開幕を前倒しする「準まつり体制」に入った4月17日の1週間後あたりから新規感染者が増加。5月に入ると経路不明の陽性者も増える傾向が見られた。保健所の調査では、相当数の感染者がまつりを訪れたことが確認された。20日には同管内で過去最多となる42人の感染が発表された。

 萱場氏は「まつり期間中の弘前市周辺で県内外からの人の流れが活発になり、感染の機会が増えた。市中感染も起きている状況」と分析。「今後は人の流れの増加につながるイベントの中止が望ましい」と警鐘を鳴らした。

 今年のさくらまつりは入園者に記名を求め、園路を一方通行にするなどして開催。準まつり期間中も含め、例年の10分の1ほどの計20万7100人が来場した。

■ねぶた制作現場、複雑な思い

 弘前さくらまつり(弘前市)が新型コロナウイルス感染者の増加を招いたとして、青森県の感染症対策コーディネーターが「人の流れの増加につながるイベントは中止が望ましい」と指摘したことで、青森市の青森ねぶた祭り(8月2〜7日)も開催が難しい状況に追い込まれた。

 弘前ねぷたまつりや八戸三社大祭など県内の夏祭りの中止表明が相次ぐ中、青森ねぶたは2年ぶりの開催を目指す。一般のハネトの参加を認めないといった感染拡大防止策を取った上で、例年より6団体少ない16団体が大型ねぶたを運行する予定。青森市の青い海公園のねぶた小屋では、ねぶたの制作が急ピッチで進んでいる。

 開催の可否について、実行委員長の奈良秀則青森観光コンベンション協会会長は「行政の判断に従う」と話す。一方、小野寺晃彦市長は「実行委が組織として協議している。市は保健衛生の観点からアドバイスする」と明言を避けている。

 中止を決めた際の代替イベントに関しても方針が示されておらず、制作現場は複雑な思いを抱える。ねぶた師の立田龍宝さん(36)は「作れる喜び以上に不安が大きい。世の中の動きと矛盾しているのではないか、いつ中止になるのかと、びくびくしている」と、代案も含めた議論を急ぐよう求めた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/780f9b45cac99fc3ae2935ebc31959452e957f03