2021.6.1

 コロナ禍において、大手・中堅の外食が続々とハンバーガーに進出している。

 2020年11月、「焼肉ライク」がヒット中のダイニングイノベーションが、東京・中目黒に「ブルースターバーガー」を出店。また、「ロイヤルホスト」「天丼 てんや」のロイヤルホールディングス(HD)は、5月29日にチキンバーガーが主力の「ラッキーロッキーチキン」を、東京・武蔵小山にオープンした。鳥貴族も、8月にチキンバーガー専門店「トリキバーガー」の出店を予定している。松屋フーズも、デリバリー専門でライスバーガー「米(my)バーガー/こめ松」を4月にオープンした。

 その背景として、ハンバーガーは外食の中でもテークアウト比率が6〜7割と高いことが挙げられる。また、業界1位「マクドナルド」、2位「モスバーガー」の既存店売上高が、緊急事態やまん防(まん延防止等重点措置)の時に、跳ね上がる傾向がある。そして、デリバリーの人気も高い。両チェーンとも、1〜4月の全ての月で、既存店売上高が前年を上回る好調ぶりだ。

 また、フライドチキンのテークアウトとデリバリーの需要もハンバーガーと同等以上に高く、「ケンタッキーフライドチキン」の21年3月期における既存店売上高は前年比で113.6%と2桁増だった。ハンバーガーとフライドチキンが、コロナ禍でも好調に推移しているため、チキンバーガーへの期待が高まっている。

 3回目の緊急事態宣言が発出され、適用地域も拡大している。飲食店の規制強化により、午後8時までの営業時間短縮に加えて、酒類の提供が禁止されている。

 店内で飲食を楽しむ機会が縮小し、フルサービスのレストランは、焼き肉のような換気の良いイメージがある業態を除き、厳しい。特にお酒がメインとなる、居酒屋やバーのような業態は、休業するか業態変更するしか、打つ手がない状況だ。

 感染拡大の場と疑われて目の敵にされ、瀬戸際まで追い込まれた外食企業が、ラストリゾートとして、ハンバーガーにこぞって参入している感もなきにしもあらずだ。

 外食各社のバンバーガー市場への新規参入の動きをまとめた。

 ロイヤルHDはバターミルクフライドチキン

 ロイヤルHDが提案する、バターミルクフライドチキン専門店「ラッキーロッキーチキン」1号店が、東京都品川区にオープンした。

 メインとなるのが、バターミルクフライドチキンとフレッシュキャベツのビネグレットドレッシングサラダを、バンズで挟んだチキンバーガーだ。パクチーとハラペーニョが入っている。経営は傘下のロイヤルフードサービスだ。

 店舗は、アーケードの長さ日本一の「武蔵小山商店街パルム」にある。昔ながらの生活感あふれるエリアだ。一方、東急目黒線が地下化して以来、一帯は再開発が進んでタワーマンションが建ち、新しいライフスタイルを持った住民も増えている。多様性のある立地だ。

 顧客単価は675円を想定。メインターゲットは大学生や高校生だ。また、テレワークをする人のランチ需要、夕飯のおかず、お酒のおつまみとして購入してもらうシーンも考えている。購入の75%はテークアウトで、デリバリー15%、店内飲食10%という想定だ。

 バターミルクフライドチキンは、米国で親しまれている家庭料理、コンフォートフード(懐かしさを感じる食品)だ。スパイスなどを加えたバターミルク液に国産鶏むね肉を一晩漬け込み、やわらかくしっとりさせて、12種類のスパイスが入った衣をまとわせ、スパイシーでザクザクの食感に仕上げた。

 また、9種類のスパイスと3種類のかんきつ類などでつくる、オリジナルのクラフトコーラも売りだ。

 5月28日に開催されたオンライン記者会見では、「日本でフライドチキンバーガー専門店は思い浮かばない。首都圏のさまざまな立地で検証し、今年は最大で10店を出店する」(ロイヤルフードサービス担当部長・石川敦氏)と差別化された業態に自信をのぞかせた。
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