2021.6.2

 「一見、普通のポリープですが、内視鏡に搭載されたAI(人工知能)はすぐさま反応し、陥凹(かんおう)型の浸潤がんと判明しました」

 昭和大学横浜市北部病院の工藤進英・消化器センター長はAIが、がん発見に貢献した症例についてこう話す。

 場所はS状結腸で、一見ポリープに見える隆起性病変は5ミリ大。検査薬のインジゴカルミン色素をかけると、陥凹局面(溝)が明瞭になり陥凹がんと診断され、陥凹型のがんが浮かび上がった。AIのおかげで早期発見され、手術して完治できたという。S状結腸は直腸とともに大腸がんの好発部位として知られている。

 「この患者さんの場合、ポリープに見えた突起は良性を思わせるようなピンク色をしており、この段階でがんと気づく医師は多くないかもしれません。経過観察とし、次回検査したときには、がんが進行しているということにもなりかねません」

 それを補完するのが、AI支援内視鏡だ。工藤医師が開発にかかわった「EndoBRAIN− Plus」(エンドブレイン・プラス)というAI診断ソフトウェアには、エキスパート(熟練)医師が診断した画像数十万枚を機械学習させ、検出感度92%で病変が、がん化していることの判断が可能となった。色素をかける前に、このポリープがすでにがん化しているかどうか判断できたのは、膨大な機械学習のたまものなのである。

 ちなみに昨日の記事で取り上げたエンドブレイン・アイは、ポリープやがんを発見するのを支援するAIで、今回のエンドブレイン・プラスは、発見された病変が、がんなのか良性なのかを超拡大内視鏡を使って区別するAIだという。

 陥凹型のがんは、見つかりづらいほか、進行が早いという、ありがたくない特徴もある。

 「良性のポリープからがんになるスピードよりも、初期の陥凹型のがんが、進行がんになるスピードの方が圧倒的に早いことはあまり知られていません。気づかないうちに、陥凹型のがんが進行しているなんていうケースは少なくありません」(工藤医師)
     ===== 後略 =====
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