世界有数の酒蔵として知られる出羽桜酒造(天童市、仲野益美社長)が2日、創業以来初めて梅酒造りに挑み、本社蔵で仕込み作業を行った。同社は今年5月にリキュール製造免許を取得し、梅酒醸造が可能に。2度の世界一に輝いた老舗酒蔵らしく、県産酒米100%使用の日本酒がベース。秋から冬頃まで漬け込み今冬の発売を目指す。

 和歌山県産南高梅1トンを使い、新鮮なうちに朝から会社を挙げて社員約20人が作業。梅はへたを取って洗浄した後、10キロ1袋にして純米酒と氷砂糖を入れた樽(たる)に漬けた。3樽分の梅を漬け、完成した梅酒は計2500リットル程度になり、アルコール度16度前後と日本酒並みに飲みやすい度数になる計算。日本酒で漬けるとうま味が調和し、まろやかな味わいが楽しめるという。

 同社は以前から日本酒造りが一段落する時期のリキュール製造を検討。コロナ禍で日本酒の消費量が急減したことを受け、消費者の幅広いニーズに応えようと検討を加速し、5月の免許取得、この日の仕込みになった。世界最大の日本酒品評会で「チャンピオン・サケ」に2度輝いており、その技術や経験を梅酒造りに生かす。仲野翔太郎専務は「米と梅は相性が良く、米からできた日本酒で漬けた梅酒の良さ、おいしさを多くの人に味わってほしい」と話した。

山形新聞 2021/6/2 21:13
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