イタリアの芸術家サルヴァトーレ・ガラウは、今月初めに「Io Sono」(I am)というタイトルの作品を販売した。当初は6000ユーロを見込んでいたが、競売で値段が釣り上がり、最終的な売却額は1万5000ユーロ(約200万円)に。購入者には本物であるという証明書を渡したという。

この作品の特徴は目に見えないことだ。だが、ガラウは作品がないわけではなく、「真空」なのだと説明する。彼は、「真空とはエネルギーに満ちた空間にほかならない」と語る。

英紙「デイリー・メール」によると、この彫刻は照明や空調のないプライベートな1.5メートル四方の空間に展示されることを想定しているそうだ。彫刻の販売を手掛けたイタリアのオークション会社「Art-Rite」は、購入した人の名を明らかにしていない

ガラウはこの作品の前にも、目に見えない彫刻「瞑想するブッダ」を発表している。5月17日、彼はインスタグラムに短い動画を投稿。その動画には白いテープが四角く貼られた、ミラノのスカラ広場の地面が映っている。

「イタリー24ニュース」はこの作品をマルセル・デュシャンの「泉」と紐付けて説明する。デュシャンが男性用の小便器にサインを書いただけの作品を発表し、新たな概念を生み出したように、ガラウはさらに踏み込んで「無」ですらアートになりうると主張した、というわけだ。また、NFTとの類似性から時代を表していると評する声もある。

ガラウの作品はネット上ですぐに大きな話題となった。SNSに書き込まれた反応の多くが「自分も目に見えない彫刻を売りたい」というものだという。

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Photo: Salvatore Garau / Instagram

2min | 2021.6.4
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