古代の信仰を今に伝える神秘性と、男根をかたどった独特の造形から、一部の縄文ファンの心を引き付けてやまない遺物「石棒(せきぼう)」。全国有数の出土数を誇る岐阜県飛騨市は5月、複数の石棒の3Dデータをオープンデータ化した。貴重な文化財のデータを芸術作品や商品に至るまで誰でも無料で利用可能にするという大胆な措置は県内初で、全国的にも珍しい。すでにアートに転用する動きもある。取り組みの裏には、文化財保護に幅広い層を巻き込もうとする斬新なアイデアがあった。

◇飛騨市は石棒の「製造拠点」

 石棒は子孫繁栄を願う祭祀の道具とされ、縄文時代に大小さまざまな形で盛んに作られた。東京都国立市や長野県佐久穂町など全国の遺跡で出土している。中でも飛騨市宮川町塩屋地区は、1千本以上が見つかった全国有数の出土地だ。

 塩屋地区は石棒の「製造拠点」だったと考えられている。この地域でよく産出する凝灰岩の一種「塩屋石」は、少し力を加えるだけで角柱状に割れる特徴がある。石の加工技術が乏しかった縄文時代でも、削って形を整えることで石棒を完成させることができた。飛騨市宮川町塩屋地区で作られたとみられる石棒は、南は岐阜県郡上市、北は富山県魚津市までの広範囲で出土している。文字がなかった時代の信仰やものの流通を研究する上では欠かせない史料とされ、全国の研究者が調査に訪れている。

◇誰でも使える石棒3Dデータ

 飛騨市は5月12日、市内で出土した石棒17点を含む縄文時代の遺物の3Dデータ20点を無料で公開し、二次利用も可能にした。石棒の3Dデータは、1点当たり100枚前後のさまざまな角度から撮影した写真で構成されており、回したり拡大したりして細部を観察できる。自分のパソコンやスマートフォンへのダウンロードも可能だ。3Dデータ共有サイト「スケッチファブ」で、下図のようなデータを無料で配布している。

…続きはソースで(石棒3Dデータの操作ができます)。
https://www.gifu-np.co.jp/news/20210603/20210603-75161.html
2021年6月3日 11時52分