http://www.zakzak.co.jp/soc/news/210604/dom2106040001-n2.html

(全文はリンク先を見てください)

今回の放送法改正案は、こうした長期的なNHK改革というより、今のNHK受信料を引き下げるという目に見
える成果を狙ったものであったが、それが一時頓挫したともいえる。
 もっとも、国会で審議しなかった理由が、筆者にはちょっと信じがたい。報道によれば、放送事業者の外資規
制違反が相次いで明らかになったからだという。全ての放送事業者を対象に、外資規制を守っているかを確認し
ている調査の報告などがまとまっていないようだ。
 外資規制をめぐっては、フジテレビを傘下におくフジ・メディア・ホールディングスが2012年から14年
にかけて議決権の計算に誤りがあり、結果として、外国の法人などの比率がわずかに20%を上回っていた。1
4年9月末以降は20%を下回り適正だった。
 いくら小さい数字で単純ミスとはいえ法令違反なので、行政府として看過できないというのは分からなくはな
いが、立法府までもが法案を審議しないのは一般からは理解しにくい。行政府の再発防止を条件として審議する
道はなかったのだろうか。
 筆者から見れば、今回の放送法改正は抜本改革ではないので不満はあるが、NHKの受信料引き下げにつなが
る点で一歩前進だった。
 NHKの財務状況を見ると、国民への目に見える還元である受信料引き下げの余地はかなりある。それにも関
わらず、与野党の国会駆け引きの中で実現しなかったのは、国民には痛いことだ。
 まさか、総選挙も近づく中、受信料引き下げが菅義偉政権の得点になるという理由で、一部野党は国会での審
議をしなかったとは考えたくはない。だが、今の野党の国会での審議ぶりを見ていると、ためにする反対ばかり
のような気がする。