週刊女性2021年6月22日号
https://www.jprime.jp/articles/-/21068

コミュニケーションは身に付く
 コロナ禍で人と会う機会が減り、もともと苦手だったコミュニケーションがより苦痛になった……。そんな悩みを抱えている人は少なくない。実は、ニッポン放送の人気アナウンサーの吉田尚記さんも、今の職につくまではコミュニケーションが大の苦手だった。

「僕は人と話すことも空気を読むことも苦手なコミュ障(コミュニケーション障害)だったんです。でも、たまたまアナウンサーになってしまい、コミュニケーションの技術を身につけざるをえなくなったんです」

 吉田さんは約20年のアナウンサー生活の中で、試行錯誤をしながらコミュニケーション技術を習得してきた。

質問することが大事
「これまでの経験から、コミュニケーションは“制限時間内に気まずくならなければ勝ち”というゲームなのだと実感しています。コミュニケーションのちょっとした技術を知っていれば、誰でもこのゲームに勝つことができます」

 では、ゲームに勝つためのコミュニケーション技術とは?

「会話が苦手な人というのは、相手に質問ができていないんですね。まずは疑問形で話すことが大切です。また、“えっ!?”“あっ!”といった相づちで驚きの気持ちを表現することも会話を続けるコツです。さらに、人は第一印象が大事なので、好感を持たれるような自己紹介ができるとその後のコミュニケーションが取りやすくなると思います」

 また、こうしたコミュニケーションの大前提となることがある。

「“話しかける勇気”と“心外なことを言われてもヘコまない”という心構えです。この2点を精神的に乗り越えれば、あとは技術を駆使してコミュニケーションという名のゲームに勝つことができます」

(1)ご近所さんと会話が続かない
疑問形で話してみる

 コミュニケーション上達への第一歩は、相手にひたすら疑問形で聞き返すこと。「“今日は天気が悪いですね”と言うと“そうですね”で会話が終わってしまいます。それを疑問形に変えるだけで会話は続いていきます。うまい質問ができなくてもOK。質問し続けることが大事です」(吉田さん、以下同)

(2)会話の中で“間”が生まれるのがコワい
「気まずいですね」と言ってみる

 顔見知り程度の相手との会話では、一瞬でも間ができると気まずい空気になってしまいがち。「そういうときは、相手も同じような気持ちでいるものです。思い切って、“気まずいですね”“今、妙な間がありましたよね”と心に浮かんだ感情をそのまま口に出してしまいましょう。そんなとっかかりから、不思議と会話が続きます」

(3)美容師やちょっとした知人と話すのがツラい
インタビュアーになってみる

「20年以上アナウンサーとして仕事をする中で実感しているのは、誰もが自分のことを話したいと思っているということ。にもかかわらず、世の中には聞き手が絶対的に不足しています。興味を持って相手にいろいろな質問をしてみましょう」。相手が答えやすいよう、できるだけ具体的に質問を。

(4)新しい環境で人間関係をつくるのが苦手
自己紹介で貢献できること&弱点を話す

「パート先でも趣味の集まりでも、自分に何ができるかを先に宣言しておくとスムーズに共同体に所属できます。さらに、同時に弱点を伝えられるとより親近感を持ってもらえます。例えば僕の場合は“仕事柄、司会進行は得意ですが、実は白髪が多いです”という感じです」。マウントととられないように、実績ではなく“〜できます”と表現するのもポイント。

会話に使えるトピックスを話してみる

「会話のトピックを表す“木戸にたちかけし衣食住(気象/道楽・趣味/ニュース/旅/知人/家族/健康/仕事/衣/食/住”という言葉があるので、覚えておくと便利です」。また、人は場所に関する記憶が強いので、出身地や家の様子への質問も相手の会話を引き出しやすい。

「えっ!?」「あっ!」の相づちで驚きを伝えてみる

「誰でも自分の話に驚いてもらえるとうれしい気持ちになるもの。中でも使いやすいのは驚きを表す“えっ!? ”“あっ! ”という相づち。“えっ!? ”と相づちを打つだけで話は自然に弾みます。このとき、前提として大切なのは相手に興味を持つということです」。驚きの感情を隠さずに素直に表現するのがコツ。

(一部略)