在日ロシア通商代表部の職員に渡す目的を隠して軍事技術などに関する文献を不正に入手したとして神奈川県座間市の70歳の男が逮捕された事件で、警察が出頭を要請していた通商代表部の職員が要請に応じないまま、12日朝、羽田空港から出国しました。

座間市の無職、宮坂和雄容疑者(70)はおととし、在日ロシア通商代表部の職員に渡す目的を隠して、論文などのコピーを提供するサービスに会員登録し、軍事技術などの文献を不正に入手したとして逮捕されました。

調べに対し容疑を認め「およそ30年にわたってロシア人に文献を渡していた」などと供述しているということです。

これまでの調べによりますと、文献を渡したのは在日ロシア通商代表部の40代の男性職員で、ロシアの情報機関員とみられ、警察は今月9日に外務省を通じて出頭するよう要請しました。

しかし、捜査関係者によりますと、要請に応じないまま12日朝、羽田空港からモスクワ行きの旅客機に乗って出国したということです。

警察は職員も文献の不正入手に関わったとみていて、さらに詳しいいきさつを調べることにしています。

この事件について在日ロシア大使館は12日、SNSに「ロシア通商代表部職員が違法な活動をしていたとする日本警察による情報に当惑している。露日関係が全体として前向きに進展している中で、貿易経済関係の発展に従事してきた通商代表部職員に対して理不尽な非難がなされた点にも注目している」などとするコメントを投稿しました。

2021年6月12日 21時06分 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210612/k10013082111000.html