拓殖大学の佐藤一磨さんの研究で、子どもの人数と女性の幸福度の関係が明らかになりました。
佐藤さんは「『二人は欲しい』『できれば三人目も欲しい』と望む女性がいる中、
実際に出産してみると生活全般の満足度が下がってしまう。これが日本の女性が直面する厳しい現実です」と指摘します――。

■子どものいる女性の幸福度は低い
世の中には「もしかすると」とうすうす気づいているけれど、直視したくない事実というものがあります。
子どもを持つことが女性の幸せに及ぼす影響もその1つではないでしょうか。

図表1は、日本の既婚女性の子どもの有無と幸せの関係を示していますが、この図はシンプルな1つのメッセージを示しています。
https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/710wm/img_9f8c30c73e6ccd57bb1b9ba6d73d332d121949.jpg

それは、「日本では、子どものいる女性の方が幸せの度合いが低くなる」ということです。
なお、図表1では幸せの指標として、生活満足度を用いています。
生活満足度とは、生活全般の満足度を5段階で計測したものであり、
幸福度と並び、幸せの指標として多くの学術的研究で使われているものです。

図表1の結果は、日本の女性を取り巻くさまざまな環境が反映されたものだと考えられます。
詳しくは以前の記事をご参照ください(「子どものいる女性のほうが、幸福度が低い」少子化が加速するシンプルな理由)。

しかし、ここで注意したいのは、「子どものいる・いないだけで、本当に子どもが女性の幸せに及ぼす影響を適切に判断できているのか」という点です。
ここでは「もう1つの重要な要因」が抜けて落ちています。

■女性の幸せは子どもの数によって変化する
その重要な要因は、「子どもの数」です。

子どもの数が二人、三人と増えるにしたがって、必要となる金銭的、時間的なコストも増加していきます。
子どもの性別が同じであれば、上の子のおさがりを活用でき、コスト削減につながりますが、教育費等は倍かかってしまいます。

また、子どもが増えるにしたがって、養育に必要となる時間も大きく増加します。
特に、新しく子どもが生まれた直後だと、上の子どもと下の子どもの面倒を同時に見る必要があり、
時間的・体力的にもきつく、疲弊してしまいます。

このように、「子どもがいるかどうか」だけではく、「何人の子どもがいるのか」によって、
子どもの存在が女性の幸せに及ぼす影響も変化する可能性があるわけです。
はたして、実態はどのようになっているのでしょうか。

■子どもの数が多いほど、女性の満足度は低下する
図表2は、子どもの数と既婚女性の生活満足度の関係を見ています。

この図は、明確な1つのメッセージを示しています。
https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/9/710wm/img_59994a1aac22925cc317f89fed988f82138429.jpg

それは、「子どもの数が増えるほど、女性の満足度は低下する」というものです。
この傾向は、女性の年齢、世帯所得、夫婦の学歴、就業形態といった要因の影響を統計的に除去しても変化ありません。
「二人は欲しい」「できれば三人目も欲しい」と望む女性がいる中、実際に出産してみると生活全般の満足度が下がってしまう。

これが日本の女性の直面する厳しい現実です。

(以下略、全文はソースにて)
https://president.jp/articles/-/46613?page=1