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 2018年、アメリカ、メイン州のシーフードレストランで、調理前のロブスターに大麻を嗅がせた料理が話題となった(メイン州では大麻は合法)
レストランの店主によると、殺されるロブスターの苦しみを少しでも和らげることが目的だったという。
過去の研究で、ロブスターのような甲殻類は痛点があるという説が発表された。

この試みは地元の保健当局によって中止を命じられたが、ある研究者はこのことに好奇心が湧いた。
大麻でロブスターの痛みは軽減されるのだろうか?そこで科学的に検証してみたそうだ。

■ロブスターの痛みは大麻で軽減できるのか?
研究を行ったスクリプス研究所のマイケル・A・ターフェ教授は語る。
2018年にちょっとした話題になった、あるレストランでロブスターに大麻を吸わせているというニュースがきっかけでした。
検証できそうな主張がいくつも述べらていましたが、私たちなら試せるなと気づいたんです

研究グループは例のレストランと同じような方法を試してみた。
水槽の中にロブスターを入れ、30分または60分間「テトラヒドロカンナビノール(THC/大麻の有効成分)」の蒸気を電子タバコを利用して流すのだ。

実験前、肺呼吸する人間と違って、エラ呼吸のロブスターがそもそもTHCを吸収できるものかどうかすら不明だったという。
しかし『bioRxiv』に投稿(5月25日付)された未査読論文によると、検査の結果、血リンパ(ロブスターの血液)・爪と尾の筋肉・脳・心臓・肝臓からTHCが検出されたとのこと。
確かにレストランのロブスターは死ぬ間際にハイになっていたようだ。

■ロブスターに大麻の効果はあったが苦痛が軽減したとは限らない
だが、それで苦痛が和らいだかどうかはまた別の話であるという。
水槽のロブスターをカメラで観察したところ、大麻によって動きが鈍くなることは確認されたが、お湯に触れた瞬間すぐに怯むような仕草を見せたとのこと。
このことはロブスターの痛みが抑えられていないことを示している。
「こうした侵害行動に対するTHCの効果は最小限なものです。1つの事例は統計的には裏付けられましたが、ごく小さな程度でしかありません」とターフェ教授。
つまりロブスターはTHCによって多少の酩酊感を味わっていたかもしれないが、だからと言って死に際の苦しみはそれほど和らいでいなかった可能性が濃厚ということだ。

■甲殻類は痛みを感じるのか?
なお甲殻類の苦痛については現在も熱い議論が交わされている最中なのだという。
ロブスターなどはショックを感じた場所を避けるようになるという実験結果があり、これは痛みの定義と一致しているという学説がある。
しかしその一方で、そもそもロブスターの脳は苦痛をリアルな感覚として感じられるような構造にはなっていないという説もあるのだそうだ。


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