東芝の株主総会をめぐり経済産業省と会社側が不当に介入していたとされることについて、梶山弘志経産相は15日、問題はなかったとの認識を示した。会見では「東芝が担っている重要な事業、技術の安定的な発達をはかるため経産省の政策として当然のことを行った」と述べた。

 この問題を調べた外部の弁護士による報告については、「事実関係に疑問をもたざるを得ない箇所がある」などとして、職員の処分などに否定的な考えを示した。経産省として独自の調査をする考えもないという。

 報告では、経産省の幹部が海外株主の情報などを東芝に漏らしていたとされ、国家公務員法の守秘義務に触れる可能性もあると指摘されていた。梶山経産相は「職員の一つ一つの行動が守秘義務違反に当たるか否か確認する必要はない」と述べた。

 東芝は14日に会見し、経産省との関係で法令順守の観点から問題があったことを認めていた。東芝の社外取締役で取締役会の議長でもある永山治氏(中外製薬名誉会長)は会見で、「経産省との関係で担当者たちにコンプライアンス(法令や社会規範の順守)が欠如していた」などと述べていた。

 報告によると、昨夏の総会前に、経産省の幹部が海外株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントに人事案の取り下げを求めた。ほかの海外株主にもエフィッシモの人事案に賛成しないように働きかけていたとされる。幹部は東芝幹部と何度もやりとりし、海外株主や経産省の情報も示していたという。

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朝日新聞 2021年6月15日 11時33分
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