【新音声入手】親密企業の参入を指示 平井卓也デジタル相に官製談合防止法違反の疑い
「週刊文春」編集部 2021/06/16 16:10
https://www.msn.com/ja-jp/news/politics/%E6%96%B0%E9%9F%B3%E5%A3%B0%E5%85%A5%E6%89%8B-%E8%A6%AA%E5%AF%86%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E5%8F%82%E5%85%A5%E3%82%92%E6%8C%87%E7%A4%BA-%E5%B9%B3%E4%BA%95%E5%8D%93%E4%B9%9F%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E7%9B%B8%E3%81%AB%E5%AE%98%E8%A3%BD%E8%AB%87%E5%90%88%E9%98%B2%E6%AD%A2%E6%B3%95%E9%81%95%E5%8F%8D%E3%81%AE%E7%96%91%E3%81%84/ar-AAL5Wii?ocid=msedgntp


 東京五輪向けアプリの事業費削減を巡り、平井卓也デジタル改革担当相(63)が内閣官房IT総合戦略室の会議で同室の幹部らに対し、請負先企業のNECを「完全に干す」「脅しておいた方がいい」などと指示していた問題。平井氏が同じ会議の場で、デジタル庁が発注予定の事業に、自身と近い関係にあるベンチャー企業を参加させるよう求める発言をしていたことが、「週刊文春」が入手した音声データでわかった。発注機関の責任者である大臣のこの発言は、官製談合防止法に違反する疑いがある。

 9月に発足予定のデジタル庁。その舵取りを担うのが、担当大臣の平井氏だ。そうした中、4月7日に内閣官房IT総合戦略室でデジタル庁設置に関するオンライン会議が行われた。平井氏のほか、同室の向井治紀室長代理ら幹部2人が同席し、数十人の関係者がオンラインで視聴していたという。

 会議の模様を収録した音声データには、以下のようなやり取りが記録されている。

平井「デジタル庁の入退室管理と、アクセスのね。それはさ、もう新しいシステムを実験的に入れてくれてもいい。松尾先生に言って一緒にやっちゃってもいいよ」

幹部「あっ」

平井「彼が抱えているベンチャー。ベンチャーでもないな、ACES(エーシーズ)。そこの顔認証、はっきり言ってNECより全然いい部分がある。だから聞いて。もうどこから撮ったっていけるし、速い。アルゴリズムがとっても優秀」

 そして、この直後に朝日新聞が報じた「NECには死んでも発注しない」という発言が続いていく。

幹部「分かりました」

平井「デジタル庁はNECには死んでも発注しない」

幹部「ははは」

平井「まぁ、あの、場合によっては出入り禁止にしないとな。オリンピックであまりぐちぐち言ったら完全に干すから」

平井氏と同郷、AI研究の第一人者
「松尾先生」とは、東京大学工学系研究科の松尾豊教授(46)で、AI研究の第一人者として知られる人物だ。

「松尾氏の出身地は、香川県。平井氏と同郷ということもあり、2015年頃から親交がありました。2020年12月23日には、平井氏が定期開催している朝の勉強会に、松尾氏がゲストとして参加するなど、親密な間柄です」(IT業界関係者)

 その松尾研究室から誕生したベンチャー企業が、画像認証サービスを手掛ける「ACES」である。

「ACESは2017年、松尾研メンバーの東大大学院生が起業。松尾氏自身も顧問として参画しています」(経済部記者)

 デジタル庁関係者が言う。

「デジタル庁新設に伴う業務は今後、随時発注されていきます。デジタル政策の司令塔だけあって、最新システムの導入を目指している。その一つが、優れた顔認証技術など高いセキュリティレベルが求められる入退室管理です。当然、契約には高い透明性が求められますが、平井氏は『入退室管理はNECではなく、松尾先生のベンチャー、ACESと一緒にやれ』などと個別の社名まで出して、指示をしてきたのです」

 元会計検査院局長で、日本大学客員教授の有川博氏が指摘する。

「入退室管理のようなシステムは本来、競争入札で事業者を公平に選定するものです。平井氏の発言は、いわゆる官製談合防止法に違反する疑いがある。同法の第2条5の2では、国の幹部を含む職員が『契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること』『その他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること』を禁じています。まして、大臣は発注機関の責任者。同法に違反した場合、発注機関の職員には5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科せられますが、大臣に刑罰が及ぶ可能性もあります」

「特定の事業者を指名することはありません」
 当の平井氏はどう答えるのか。事実関係の確認を求めたところ、書面で主に以下のように回答した。

以下はソース元

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年6月24日号)