米国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新たな大台を突破した。
ジョンズ・ホプキンス大学のデータによれば、16日現在、60万人を超える米国民が命を落としたことが確認された。

集団予防接種キャンペーンが功を奏し、死亡率は全国的に低下しているが、
新型コロナウイルスがもたらした甚大な被害を痛感させられる数字だ。

米疾病対策センター(CDC)によると、15日までの1週間に1日平均285人が死亡している。
ピークは1月13日の3579人で、285人は2020年3月後半以降最も低い数字だ。入院者数も減少している。

もしワクチンの接種がこのまま順調に進めば、秋には集団免疫が実現し、死亡者数は大幅に抑えられる見込みだ。
集団免疫とは、ワクチン接種または自然感染によって十分な数の人が免疫を獲得し、ウイルスが容易に広がらなくなる状態のことだ。

国民の65〜80%が接種を終えれば、集団免疫が実現すると専門家は予測している。

16日現在、米国民の52.7%が少なくとも1度の接種を受けている。
しかし、ワシントン・ポスト紙が14日付で掲載した記事によれば、ワクチンの接種率は全国的に均等なわけではなく、
接種率が低い地域では感染者数が目立って増加し、入院率も著しく高いという。

「ワクチン接種を受けた人が増えれば増えるほど、ワクチン接種を受けていない人も守られることになります」
と米ミネソタ大学感染症研究政策センターの所長であるマイケル・オスターホルム氏は話す。


米国民が普通の生活に戻りつつある現在、被害の甚大さをとらえるのは特に難しい。
ワクチンを接種した人の増加と感染者の減少に伴い、多くの地域が平常に戻り始めている。

しかし、たとえ死亡率が低下しても、警戒を維持することが重要だ。まず、60万人という数字は本当の死者数ですらない可能性が高い。

COVID-19の死者数は算出が難しいことで知られる。特に検査が広く行われていなかったパンデミック初期には診断漏れがあり、データの追跡にもむらがあった。
また、パンデミックを理由にほかの病気の治療を避けた人々の死など、新型コロナウイルスは記録に残らない間接的な死ももたらしている。

ジョンズ・ホプキンス大学のデータによれば、全世界の死者数は380万人を超えている。
しかし、リソース不足、場合によっては透明性の欠如が原因で、データの追跡がさらに困難な国々もあることを考えると、
本当の数字の評価は米国以上に時間がかかるかもしれない。

世界保健機関(WHO)は2019年、世界の約3分の2の国が出生数と死亡数の確実な算出に必要なシステムを欠くと報告している。

COVID-19の死者数の信頼できるデータが存在しないという事実は危険な結果を招く可能性がある。
米国では現在、多くの州や自治体、企業が規制を緩和し、疲弊した国民が外国旅行を検討し始めている。

その一方で、インドで感染が拡大したデルタ株をはじめ、より感染力の強い変異株が国内で広がっている。
米国ではまだワクチンが行き届いていない場所があり、世界を見渡せば、ワクチンの入手すら困難な地域が数多くある。

「ほかの国で感染が広がれば広がるほど、より感染力の強い変異株が現れる可能性が高まります」
とジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院の疫学教授アンバー・ドゥスーザ氏は指摘し、だからこそワクチン接種が重要だと言い添えた。

「米国人にはやればできるという素晴らしい気持ちがあります。効果があるワクチンを手にしながら、高い接種率を実現しなかったらどうでしょう。
ほかの国々は高い接種率を切望しており、ワクチンさえ手に入ればきっと実現します。私たちも力を合わせて実現しましょう」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/061700303/

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【イギリス】 なぜ感染再拡大? ANNロンドン支局の記者 「若い世代とコロナワクチンを2回打っていない人たちに感染が広がっている」
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1623919133/