● 政府を信じると損をする 帰宅ラッシュの“国鉄”での原体験

 わたしが政府を信じなくなった原体験の話をします。

 昔、深夜残業でくたくたになって帰宅しようとしたら、山手線が人身事故でダイヤが乱れていたことがありました。渋谷駅で乗ろうとした電車はぎゅうぎゅう詰め状態で、それでも早く帰りたいので入り口付近で体を斜めにしながらも必死に乗り込んでいたのです。

 すると駅のアナウンスがあって、「次の電車がすぐ近くまで来ています。ドア付近の方はいったん降りて、次の電車にお乗りください」というのです。

 くたくただったのでアナウンスに従い、ホームに降りて次の電車を待つことにしました。目視で乗車率200%の電車を見送ったところ、すぐにまたアナウンスがありました。

 「ただいま事故でダイヤがたいへん乱れております。次の電車はいま、大崎駅で待機しております」

 東京在住以外の方のために補足すると、最初のアナウンスではあたかも渋谷駅の手前でホームが空くのを待っており、すぐに渋谷駅に到着するかのごとく説明していた後続車両は、実際は4駅も向こうでホームに待機していたわけです。

 15分以上待ってようやく次の電車が来る頃には、深夜の渋谷駅のホームはまた、すし詰め状態。さんざん待たされた揚げ句に、先ほど以上のぎゅうぎゅう詰めの電車に乗って帰宅することになりました。

 そのとき、「これが国のやり口だ」と心の中で思ったものです。若い読者の方はご存じではないかもしれませんが、わたしが新入社員だった当時の山手線は、準国家公務員が運営する“国鉄”でした。

 低レベルな体験談ですみません。でもこの低レベルさ、どこかでデジャブのように思い出したりしませんか?

● 3度目の緊急事態宣言でも 政府の対応は“国鉄”と同じ

 ひさしぶりにこの原体験を思い出したのが、4月25日からはじまった緊急事態宣言のときの政治家の発言でした。

 5月11日までゴールデンウイークをまたぐ期間の自粛を求め、「勝負の17日間、なんとか我慢してほしい」とおっしゃったわけです。飲食店でお酒を飲むことを国民に我慢してほしい。17日間だから協力してくれと。

 そのときに思い出したのが、冒頭のエピソードでした。「国鉄の頃からやり方が変わっていない。17日で済むわけがないだろうに」。これまでの緊急事態宣言が延長されてきた経緯からそう感じたのですが、実際はわたしの想像を超えて、お酒の提供自粛はその後も長期化する事態になりました。

 わたしの本業は、未来予測専門の経営コンサルタントです。コロナがいつごろ収束するかというのは経営者にとって重要な情報です。わたしは今年の2月頃に、「コロナは5月末に収束に向かいます」と断言して、6月以降のアフターコロナのビジネスチャンスを逃さないようにアドバイスしていました。しかし、実際は「お酒の提供制限」「県をまたがる移動は自粛」「不要不急の外出を控えて」では6月段階では景気の回復などあったものではありません。

● そもそも国民と政府で コロナ収束の見解が異なる

 この話を聞いた読者の方は、「鈴木さんのコロナ予測が外れたんですよね!」と思うのではないでしょうか。そこで、ちょっとグラフを見ていただきたいと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ad9ad6575d3fded6c5537e800de2e4a2c60f7bd3
6/18(金) 6:01配信