大阪府は18日、21日からのまん延防止等重点措置への移行に合わせ、飲食店での条件付きの酒類提供容認など社会経済活動の本格再開にかじを切った。感染はピークを越えたものの楽観できる状況ではない。新たな変異株のリスクも懸念される中、この日の対策本部会議では引き続き警戒していく方針が確認された。

 「原則、酒類は自粛要請を続けるべきだと思っているが、それだと厳しいという声があるのも事実。対策を徹底している店は提供を認め、徐々に社会を戻していく」。会議後、吉村洋文r知事は記者団に強調した。

 酒類提供に対する府の判断は最後まで揺れ、この日午後2時予定だった会議は開始が1時間遅れた。府関係者によると、17日の時点では、酒類提供店に入店可能な人数を政府方針に合わせ、「1グループ原則4人以内」としていた。しかし、18日午前、吉村知事と幹部らが協議。多くの幹部は「4人以内」を主張したが、知事が「4人以内は多い。2人以内に修正してください」と指示し、土壇場で方針が変わった。


 会議に出席した専門家会議座長を務める朝野(ともの)和典・大阪健康安全基盤研究所理事長は「昨日よりもブラッシュアップされた印象で、よく練られた対策になっている」と評価した。

 しかし、懸念が払拭(ふっしょく)されているわけではない。18日の新規感染者数は79人で、重症者数は110人。2回目の緊急事態宣言の最終日だった2月28日はそれぞれ54人、90人で、状況はこの時よりも悪い。朝野氏は4月のインタビューで「重症者が20人にまで減るか、20人にまで確実に減らせる根拠がない限りは宣言は解除するべきではない」と語っていた。現在の重症者数はこの水準を大きく上回っており、朝野氏も「第4波と同様の感染増加が起きれば、医療の逼迫(ひっぱく)は同等かそれ以上に厳しいものになる」と警鐘を鳴らす。

 府幹部は「(インドで確認された変異株の)デルタ株の状況は第4波の入り口と似ている」と懸念する。18日の会議でも、府の独自基準「大阪モデル」は最も深刻な「赤信号」の点灯継続が決まった。

 吉村知事は記者団に語った。「大阪は来た道に戻ってはいけない。何とかこの策で感染を抑えたい」【矢追健介、柳楽未来】

毎日新聞 2021/6/18 21:54
https://mainichi.jp/articles/20210618/k00/00m/040/405000c